現在の日本では、少子高齢化や労働人口の減少などの社会的課題を抱えています。
その課題を解決するツールとして、ドローンは注目を浴びているのです。
ドローン市場は拡大を続けており、ドローンを活用する仕事の種類が増えています。
そのため、ドローンをつかった仕事に興味がある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドローンを使用した職種ごとの必要なスキルと将来性について解説します。
この記事を読むとわかること
・ドローンビジネスの将来性
・ドローンを使った仕事の内容
・ドローンを使った仕事をするために必要なスキル
▼ドローンの仕事に関して詳しく解説した動画▼
ドローンを使用した職種
ドローンを使用した仕事は、多様な職種と将来性が魅力的な成長産業です。
ドローンの仕事は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
・ドローンパイロット(操縦士)
・ドローンエンジニア
・ドローンの技術と知識を教える講師
特にドローンを操縦するパイロットの仕事はさまざまな産業で活用され、ドローンを使用した職種が広がっています。
カメラを搭載したドローンを操縦して写真や動画を撮影したり、農薬を散布したり、荷物を運んだりとそれぞれの職種で専門性の高いスキルが必要となります。
また、全ての職種でドローンの運用には適切な知識やスキル、法律の遵守が不可欠です。
それぞれの仕事につくために、必要なスキルや将来性について解説します。
空撮カメラマン
空撮カメラマンはドローンに搭載されているカメラで上空からドローンを使って美しい風景やイベントを空中から撮影する仕事です。
操縦と撮影技術の習得に加え、クリエイティビティと映像編集スキルが求められます。
今までは空撮といえばヘリコプターが主流でしたが、コスト面や撮影範囲の広さのメリットからドローンでの撮影へ置き換えられつつあります。
映画やTV業界、観光業界、ブライダル業界、不動産業界などでドローン空撮を利用する企業が増えているのです。
そのため、空撮の仕事は将来性があると言えます。
現状は、ドローン空撮で必須になる資格はありません。
ただし、ドローンスクールが発行している民間資格やドローン操縦の国家資格などを取得することにはメリットがあります。
資格取得することで、飛行申請の簡略化や今まで飛行禁止とされていたエリアの飛行が可能になるため、空撮カメラマンとしての活動の幅を広げることに役立ちます。
建築・土木測量
ドローン測量は、ドローンを使用して建物や地形を測量する仕事です。
人が立ち入れない山林や山奥でもドローンを使用することで正確なデータを短時間で収集できます。
測量にドローンが活用される理由は、高い安全性と作業効率の高さ、コスト面でも優れているからです。
さらに、ソフトウェアを使用することで、ドローン測量に必要な以下のことがまとめて行えます。
・自動飛行制御
・画像データの収集
・3Dモデル
・オルソ画像
・距離や体積の測定など
そのため、ドローン測量は、ドローンの操縦に加えてソフトウェアを扱うスキルが必要です。
ドローン測量に必須となる資格はありませんが、測量士や測量士補の国家資格は必須と言えるでしょう。
また、レベル4飛行と呼ばれる第三者の上空で補助なし目視外飛行する場合には、ドローンの操縦に無人航空機操縦者技能証明書と機体認証が必要となります。
ドローン測量士は建築現場の監督や設計、インフラ改修などで重要な役割を果たしています。
ドローン点検
ドローン点検は、施設や設備の点検を効率的かつ安全に行う仕事です。
電力線や通信塔、橋梁、パイプラインなどの点検や損傷の確認作業にドローンが活用されています。
ドローン点検は、高所や危険地域への人が立ち入らずに点検できるメリットがあるからです。
ドローンを導入することによって作業効率やコストの削減につながり、早期発見と適切なメンテナンスにより事故防止にも寄与するため、今後もドローン活用が広がる分野です。
ドローンを使って点検する場合に特別な資格は必要ありませんが、点検に特化した知識や技術が必要になるため専門技術を学べるドローンスクールは有用と言えます。
屋根点検、プラント点検など目的ごとに講座があるため、スクールに通うことで専門性の高い技術が磨けるでしょう。
農薬散布
農薬散布は、ドローンを使って農作物に必要な農薬や肥料を散布する仕事です。
ドローンの農薬散布は従来の方法に比べて作業負荷を軽減します。
自動化により農作業を効率化し、農地の地形や条件に適した農薬散布が可能です。
また、農薬散布に関連した健康リスクを低減できるメリットもあります。
農業では慢性的な人手不足や高齢化の課題を抱えているため、ドローンを使った農薬散布への期待が高く、将来性が見込まれます。
農薬散布用のドローンは機種ごとに農薬を入れるタンク容量や飛行可能時間が違うため、農地の面積に合わせた機種選びが必要になります。
また、農作散布用のドローンは「産業用マルチローター」として認定されているものを使用する必要があり、それぞれの機種にあわせた技術認定が必須となる点にも注意しましょう。
警備
警備業界は、警備員が犯罪に巻き込まれる可能性や危険な場所への巡回など、リスクの高い労働環境の問題から人手不足も深刻です。
警備業務は、警備員の巡回といった人による警備か、監視カメラやセンサーを使った機械警備が一般的です。
その中で、警備員に代わる警備業務として、ドローンの可能性に期待が寄せられています。
警備用ドローンはAIを組み合わせることで、不審な動きをする人物や車などをいち早く察知できます。
ドローン警備は、夜間監視や遠隔地のパトロールが容易になり、不正侵入の防止や緊急事態への早急な対応が可能です。
警視庁では2023年度にドローンによる警護現場を上空から把握するための予算を1億7,600万円計上しました。
民間業者でもドローン活用の実証実験が進められていますが、天候の影響や落下の危険性など課題が残っています。
そのため、ドローンを活用した警備が一般的になるのはまだ先になると考えられています。
ドローンで警備するためには、警備員指導教育責任者を配置したうえで、「機械警備業務管理者」の資格を保有している必要があります。
現在、ドローンを活用した警備事業者の認定スキームが検討されているため、環境が整うことでドローン警備は拡大するでしょう。
ドローンスクール講師
ドローンの普及に伴い、ドローンスクール講師の需要が増えています。
ドローンスクール講師は、初心者からプロフェッショナルまで様々なレベルの生徒にドローンの操縦技術や法律、安全対策を教える役割を担っています。
さらに、ドローンスクールに通う生徒の目的に合わせて、空撮、測量、点検など専門的な知識が必要です。
特に、生徒がドローン関連の資格取得を目指している場合は、資格取得講座を教える立場として資格の保有が求められるでしょう。
ドローンに関する資格は種類が非常に多いため、実用性の高い資格から取得することをおすすめします。
ドローンスクールで働く場合は、そのスクールが認定を受けている団体のインストラクター資格は必須となりますので確実に取得しておきましょう。
ドローンを取り巻く環境は、ドローンの発展や普及に伴って法令やルールが変更になることがあります。
常に最新情報にアンテナを張り、法令やルールを正しく理解し、ドローンの技術の進歩にも対応できる柔軟さが必要な仕事です。
ドローンエンジニア
ドローンエンジニアは、ドローンの開発や改良に携わる仕事です。
機体の設計、制御システムや自動運転技術などの開発、さらにはメンテナンスや修理などのサポート業務といった幅広い領域で活躍しています。
プログラミングやロボティクスなどの高度な技術スキルが求められる職種です。
ドローンは空撮、測量、点検、農業、警備などさまざまな分野で活用されているため、それぞれの分野の知識も必要です。
また、少子高齢化が進む日本では労働力の減少が課題となっており、ドローンの活用が人手不足の解消に役立っている分野があります。
そのため、今後もドローンの活用はさまざまな分野で期待されているため、新しい活用を生み出せるエンジニアは貴重な存在となるでしょう。
ドローンエンジニアは引き続き需要が高い仕事と言えます。
ドローンで仕事を受注するために必要な知識やスキル
ドローンの仕事を受注するためには、いくつかの重要なスキルや知識が必要です。
まずは冷静に状況を判断するスキルが重要であり、トラブルシューティング能力も求められます。
また、ドローンの操縦技術や知識を習得することも不可欠です。
さらに、航空法や地方自治体の規制に関する知識を持ち、法律の遵守が重要です。
これらのスキルと知識を身につけることで、ドローンを使った仕事の受注へとつながります。
冷静に状況を判断するスキル
ドローンを安全に飛行させるためには、どのような条件下でも冷静に状況を判断するスキルが重要となります。
ドローンの運用では予期せぬ状況が発生することがあります。
飛行ルートや天候など、ドローンを飛行させる環境は常に一定ではありません。
障害物や風の影響を受けて飛行が難しくなった場合にも、落下事故や衝突事故を回避するとっさの判断力とトラブルシューティング能力が必要です。
落下や衝突がやむを得ない場合でも、人的被害を避け、被害を最小限にするための冷静な判断力が必要です。
ドローンに関する操縦スキルや知識
安全なドローン操縦には適切な技術と訓練が不可欠です。
フライト技術の向上や特定の操縦スキルの習得、自動飛行モードの活用など、様々な状況に対応するための操縦能力が求められます。
ドローンは機体ごとに飛行が可能な距離や時間、安全機能など、機体の特性が違います。
自分が扱う機体の正しい知識と機体に合わせた訓練により、安全なドローンの操縦が可能となります。
航空法をはじめとする法律の知識
ドローンの運用には航空法や地方自治体の規制など、法的な制約が存在します。
これらの法律や規制に違反することは重大な問題となりますので、適切な知識を持ち、常に法律の遵守が必要です。
また、機体登録やフライト許可の取得など飛行条件ごとに必要となる手続きを理解し、適切に対応しましょう。
ドローンに関する法律や手続きは、普及が進むドローン業界の実態に合わせて整備が進められているため、変更になる可能性があります。
常に情報を収集し、最新の法令やルールを正しく理解しましょう。
ドローンを使用した仕事の将来性
ドローンを使用した仕事は、急成長を遂げる新たな職業の1つとして注目を集めています。
現時点で、空撮、測量、点検などドローンの利用領域は広がりを見せています。
一方で、今はまだドローンが活用されていない分野でも、安全性の確保や法整備が整うことでドローンを活用する業界が増え、職種は拡大するでしょう。
ドローン関連のビジネスは市場規模が拡大し、今後も成長が予測される分野です。
ドローンビジネスの成長予測と市場動向
ドローンは技術革新と様々な業界での活用が進んでおり、ドローンビジネスの将来性は非常に高いと言えます。
なぜなら、国内のドローンビジネス市場規模は、2021年度時点で前年度比25%増の2,305億あり、2022年度、2023年度と拡大を続けているからです。
さらに、2025年度には6,468億円へ達すると予測されています。
市場規模は拡大し続けており、特に空撮、測量、農業、インフラ点検などの分野ではすでに普及が進み需要が増加しています。
さまざまな用途での活用が見込まれるため、ドローンビジネスは成長し続けるでしょう。
新たな活用分野の発展と需要の伸びる領域
現在、既存の分野に加えて新たなドローンの活用分野が広がっています。
ドローンは以下の課題を抱える分野で、今後の発展と需要が見込まれます。
・人手不足
・コスト削減
・情報収集
・作業負担の軽減
・作業の危険回避と安全性確保
具体的には、物流、災害派遣などが挙げられます。
物流業界は宅配便の取扱個数は増えているにもかかわらず、人手不足が深刻です。
そのため、ドローンを使った宅配サービスに期待が寄せられています。
山間部や離島などの過疎地でも、短時間で荷物を宅配できるよう実用化に向けて実証実験が行われています。
また、ドローンは災害地や危険地区、高所など人が安易に立ち入れない場所へ進入が可能です。
災害派遣の場面でドローンの活用が進めば、救護者の有無や被災状況の収集や支援物資の運搬など、これまで時間がかかっていた作業でも迅速に対応が可能となります。
ドローンは現在の社会が抱える課題の1つの解決策として期待され、今後も需要が伸びていくでしょう。
まとめ
ドローンを使った仕事の将来性は非常に高く、成長産業としての可能性が広がっています。
市場規模は拡大傾向にあり、特に空撮、測量、農業、インフラ点検などの分野での需要が急速に増加しています。
さらに、物流や災害派遣といった新たな活用分野の開拓が進んでおり、多くの分野でドローンの活用へ期待が寄せられているのです。
ドローンの運用には適切な知識やスキル、法律の遵守が不可欠です。
ドローンビジネスは未来に向けてさまざまな可能性が広がっており、ドローンを使った仕事の世界はますます拡大していくことが予想されます。
ドローン業界の発展を見据えつつ、自分の興味やスキルに合わせたドローンの仕事を追求してみてはいかがでしょうか。