ドローン測量は、従来の測量方法と比べて短時間かつコストを抑えて実施できる測量方法です。
現代は、測量技術の躍進によって精度も大幅に向上しているため、橋梁点検や鉄道事業においてドローン測量が活用されています。(参考:国土交通省のドローン活用事例)
そもそも測量とは、地球表面上の点と点の関係位置を決めるための技術や作業の総称のことです。
測量を行うことによって地図の作成や土地の位置状態の調査などができます。
そこでこの記事では、ドローン測量と従来方法の比較、ドローン測量の方法や手順を徹底解説します。
【本記事でわかること】
・ドローン測量と従来の測量比較
・ドローン測量によるメリット
・ドローン測量が役立つ場面
・ドローン測量の方法
・ドローン測量の手順
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ドローン測量と従来の測量を徹底比較
ドローン測量とは、ドローンに搭載されたカメラやセンサーを使って、上空から地表を撮影し、地形や構造物を計測する測量方法です。
地上での測量や航空機を使用する従来の測量方法と比べて、広範囲を短時間で、低コストで、安全に測量できるというメリットがあります。
ここでは、ドローンを活用した測量方法と従来の測量方法を徹底比較しながら、それぞれの測量範囲や特徴を解説します。
測量方法 | 測量範囲 | 測量の特徴 |
地上測量(トータルステーション) | 小 | 地上での距離と角度を直接計測 |
ドローン測量 | 中 | 低空からの写真やレーザー計測 |
有人航空機測量 | 大 | 高空からの写真やレーザー計測 |
従来の測量手法は、地上での人手による計測と、広範囲をカバーできるものの高額な有人航空機による計測が主流でした。
しかし、前者は時間と労力を要し、後者はコスト面で課題がありました。
そこで近年注目されているのが、ドローンを活用した測量です。
ドローンによる測量方法は、従来まで実施されていた両者の手法の利点を兼ね備え、比較的広い範囲を効率的かつ低コストで測量できるという特徴を持っています。
ドローン測量の4つのメリット
ここでは、ドローンを使用した測量のメリットを紹介します。
【ドローン測量のメリット】
1.時間とコストを大幅に削減できる
2.3Dモデルが比較的簡単に作成できる
3.基本的にどこでも測量できる
4.正確な測量が可能
それではここから、ドローンを使用した測量のメリットを4つ詳しく紹介します。
1.時間とコストを大幅に削減できる
ドローンを使用した測量では、従来の方法に比べて時間とコストを大幅に削減できます。
有人航空機を使用した測量では、機材や操縦士の準備に高額の費用が必要です。
人力による測量では、2人1組で行うため広範囲を測量する場合は人員が多く必要になり、その分人件費がかかってきます。
また、高低差のある土地など測量が難しい地形の場合は、費用や時間がさらにプラスされていきます。
しかし、ドローンを使用した測量は、人員をほとんど必要としないうえに、上空から短時間で散布するため作業時間短縮や人件費削減が可能です。
2.3Dモデルが比較的簡単に作成できる
ドローンを使用した測量では、比較的簡単に3Dモデルを作成できます。
従来の地上で測量する方法だと、3Dモデルを作るには測量結果から必要な数値を手作業でソフトに入力しなければいけませんでした。
そのため3Dモデルを作成するのにも多大な時間を要していました。
しかし、ドローン測量では、上空から写真や動画をデジタル撮影したり、レーザー照射したりして地形の情報を点群データとして取得します。
このデータをもとに専用ソフトを用いて自動的に解析することで、3Dモデルを簡単に作成できます。
3.基本的にどこでも測量できる
ドローンを使用した測量は、基本的にどこでも測量できるメリットがあります。
地上で測量する場合、災害現場や危険区域など、人が立ち入れない場所や危険な場所は測量できませんでした。
しかし、ドローン測量であれば、上空から撮影したりレーザー照射を行なうため、測量範囲が制限されません。
グリーンレーザーを用いれば、水底の地形も測量できます。
従来で人が測量できなかったようなところでもドローンを使えば測量可能なため、様々な地形の測量を行えるようになっています。
4.正確な測量が可能
ドローンを使用した測量は、正確な測量が可能というメリットがあります。
カメラやレーザーなどのセンサーを搭載したドローンを使用して、上空から高精細なデータを取得するため、精密な3次元データとして出力できます。
また、ドローンの機動性を生かして高所や複雑な地形でもスムーズに操作できるため、災害現場や人が立ち入れないような地形でも迅速かつ正確に測量できます。
ドローンの持つ特性によって、より効率的で精度の高い測量が可能になると言えます。
ドローン測量が役立つ業種、活躍する場面
「測量」といっても、一般の人からしてみればあまり関係がないことのように思います。
ドローンによる測量に限らず、測量とはどのような業種で使用されるものなのか、以下に例を挙げてみました。
【測量が用いられる業種】
・建設業者、コンサルタント
・産業廃棄物業者
・鉱山管理業者など
一般人が直接関係なくとも、建設やインフラ関連の仕事において、この測量は非常に大切な意味合いを持っています。
そのため、ドローン測量技術の向上は、私たちの生活に間接的に影響を及ぼすものなのです。
ドローン測量の方法は大きく分けて3つ
ドローン測量の方法は大きく分けて3種類存在します。
【ドローン測量方法の種類】
・写真測量
・レーザー測量
・グリーンレーザー測量
それぞれ、メリット・デメリットが存在し、用途によって使い分けなければなりませんが、いずれにも共通することは、測量したい場所とドローンとの間に障害物がある場合は、測量ができないということです。
写真測量について
写真測量とは、ドローンについているカメラで地面を撮影する測量方法のことです。
ドローンを使って地面を撮影するだけなので、最も安価で簡単な測量方法となっています。もちろん、専門的な道具も必要ありません。
撮影の際には、「ラップ率」といって地面に対して垂直に写真を6割以上重複させるという撮影手法をとります。写真を重複させることによって、より立体的にデータを取得することができます。
写真測量のデメリットは、樹木等の多い場所では正しい測量ができないということです。
レーザー測量について
写真測量ができない場所では、レーザー測量が用いられます。
ドローンにレーザー発振機を搭載して、レーザーによって地表との距離を図ります。
写真測量と比べて専門的な道具や技術が求められますが、精度が高いのが特徴です。
レーザー測量のデメリットは、非常にお金がかかるということ。レーザー発信機は1000万円以上する場合がほとんどです。
グリーンレーザー測量について
地表面の測量ではなく、河川や港湾などを測量する場合は、グリーンレーザー測量が適しています。
グリーンレーザーとは、水の影響を受けない特殊なレーザーのことです。水の影響を受けないため、レーザーは水底まで届きます。
もちろん、水の透明度などによっても精度は左右されます。
グリーンレーザー測量のデメリットは、特殊な機器を積み込むため、まだまだ大型なものが多いということでしょう。
ドローン測量の手順について
ドローンを用いた測量と言っても、その用途や精度はさまざまです。
それぞれの場合において、どのような測量手順をとるべきかは国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」にて詳しく説明がなされています。
ドローン測量の関係者は、必ず目を通しておかなければならない重要な資料となります。
測量の仕組みについて
ここまで、ドローン測量の種類といったマクロな視点から解説を行ってきましたが、そもそも測量の仕組みとはどうなっているのでしょうか。よりミクロな視点で説明を行っていきます。
ドローン測量で大切なことは、「3次元点群データ」や「オルソ画像」を取得することです。これらを組み合わせることによって、正確な測量ができます。
3次元点群データ
3次元点群データとは、ドローンで撮影した映像のXYZ軸のことです。このデータを取得することで、より立体的な情報を得ることができます。
しかし、この点群データはこれだけでは使えません。気圧計から取得するコードの情報や、人工衛星から取得する位置情報を組み合わせることによって、ようやく意義のあるデータが完成する仕様となっています。
このデータを用いることによって、距離の計測や体積の算出、3Dモデルの作成、図面の作成等が行え、さまざまな分野で活躍します。
オルソ画像
オルソ画像とは、地図データ等と重ねあわせて利用することで取得できる地理空間情報のことです。
ドローンで空撮した写真を複数枚組み合わせることによって、傾きや歪みを修正し正確な位置やサイズがわかるように補正された画像のことを指します。先述した3次元点群データと合わせてドローンで撮影されることが多いです。
まとめ
本記事では、3種類のドローン測量の方法や手順、従来の測量方法との比較解説を行いました。
また、ドローン測量が役に立つ業種やメリットについても詳しく紹介しました。
【ドローン測量のまとめ】
・ドローン測量は、私たちの生活に間接的にかかわってくる重要な技術である
・従来の測量に比べて、ドローン測量は4つのメリットがある
・ドローン測量には、写真測量・レーザー測量・グリーンレーザー測量の3種類がある
・測量の手順は、国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」で詳しく説明されている
・3次元点群データとオルソ画像を取得することが、ドローン測量のキモである
今後も、ドローン測量は普及していき、より安全で正確な測量が可能になります。
ドローン測量の普及に伴い、ドローン関連の仕事も増えていくことが予想できるので、ドローンスクールを受講し、確実な知識と操縦技術を身につけてほしいと思います。
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