ドローンで点検するとは?費用やメリットなどを解説

ドローン業界の技術発展や建設現場のi-Constraction導入が進む中、ドローン点検が注目を集めています。

また、2022年4月1日より建築基準法で定められている法定定期点検を、ドローンによる赤外線調査で代用できるようになりました。

ドローンによる点検は、従来の点検手段と比べて効率が良く、時間や点検費用を抑える省コスト化が進み、人が介入しないことによる安全性の向上を可能にしました。

本記事では、今後さらに発展していくドローン点検について徹底解説します。

【本記事でわかること】
・ドローン点検とは?
・ドローンで点検できるもの
・ドローン点検の事例
・ドローン点検の課題
・ドローン点検のメリット
・ドローン点検でおすすめの会社
・ドローン点検を頼むには?

▼ドローン点検に関して動画で詳しく▼

ドローンの点検市場は規模を拡大している

出典:インプレス総合研究所

上記グラフを見ても分かるとおり、ドローンの点検市場は年々拡大しており、2025年度には約1700億円規模になることが予想されています。

1700億円規模という数字では想像しにくいと思いますが、2019年度のネイルサロン市場規模が約1700億円なので、比較するとこれからドローンがさらに社会に浸透していく様子が浮かぶはずです。

さらに、2022年4月1日より、建物外壁の定期検査をドローン点検で行えるような法改正がありました。

内容としては、従来の打診点検に代わる手段として、安全と効率をより重視した赤外線カメラを搭載したドローンで建物を撮影・分析することが法的な点検で認められたというものです。

安全面や効率化、省コスト化を目的とした法改正と機体スペックの向上により、ドローン点検はますます世の中に広がっていきます。

ドローンの点検はどのように行われるのか?

ドローンによる点検は、主に下記の手段で行われます。

・通常カメラで撮影する目視点検
・マッピング技術と解析をし、3Dモデルを製作する点検
・赤外線カメラを使用する赤外線点検

通常カメラでの目視点検では、ドローンによる空撮で、地上からは見えない損傷箇所を探していきます

使用するドローンも点検対象により変化し、家屋の点検では小型の扱いやすいコンシューマ用ドローンを用いることが多く、送電線などインフラ点検では長距離を飛行できる固定翼ドローンが使用されます。

マッピング技術を駆使し3Dモデルを製作するドローン点検では、大量の撮影データをもとに3Dマップを作成し、解析により損傷箇所を調査するという方法です。

メリットは、点検によるマッピングデータの蓄積により、いつどこが不良になったかわかる点です。

赤外線点検では、建物のあらゆる場所の温度を観測し異常値を探し出すことで、外観では分かりにくい損傷を探し出します

また、暗闇で付ける暗視スコープも赤外線を使用しているため、暗闇でも赤外線点検が可能です。

ドローンで何を点検するのか?

ドローンで点検できるものは家屋やマンションをはじめとして、橋梁や送電線を代表するインフラ点検などさまざまなものが対象となります。

使用するドローンのスペックによって、得意な点検対象・苦手な点検対象があるため、目的に合わせたドローン運用が重要です。

また、屋外だとGPSを利用して安定性のある点検が可能ですが、屋内の点検だとGPSを利用できないことが多く、ビジョンセンサーを活用した点検やマニュアル操縦での点検が行われます。

橋梁をドローンで点検

現在ではドローンの自動飛行で橋梁点検をし、AIで撮影データを解析することで、迅速に橋梁の問題がある箇所を発見する研究が進められています。

橋梁点検で使用するドローンは、GPSが使える環境ではない橋の下に潜っても安全に飛行ができるように、ビジョンセンサーを活用して安定した測位ができる機体が開発されています

また、ドローンに搭載されているカメラは真上を向けるようになっており、橋の下側からの点検を容易に行えます。

日本国内の2m以上の橋梁は約70万カ所あり、そのほとんどが老朽化しているため点検が必要です。

将来的に人の手を使わずに橋梁を自動で点検できるようになれば、大幅な効率化とインフラの保全が可能となります。

トンネルをドローンで点検

橋梁点検と同じく、トンネル内壁をドローンで点検する場合には、非GPS環境であることが問題点として挙げられます。

また、トンネル内は暗所であるため、綺麗に撮影データを取得できるように、使用するドローンにはセンサーサイズの大きなカメラやLEDライトを搭載する積載能力が必要です。

そのため、ビジョンセンサーを活用した大型の機体が現在開発途中で、トンネル内の点検を容易にできるように実用化を目指しています。

家屋やビルのメンテナンスにドローンを活用して点検

前述の建築基準法で定められた定期点検のためにドローン赤外線点検を活用したり、ドローンによる3Dマッピングで建物のデータを取得している事例が多数あります。

また、工務店が家を建てた後のアフターサービスとしてドローン点検を導入する事例もあり、ドローン点検の分野では最も進んでいるのが家屋やマンションの点検になります。

ドローン点検は足場を組まずに時間とコストを節約しながら効率的に点検ができる上に、点検の安全性も向上し、作業に必要な人数も少なくて済みます。

ドローンを活用した点検は、従来の点検方法と比較して、点検する側・点検される側どちらにも大きなメリットがあります。

太陽光パネルをドローンで点検

ドローンは、広大な敷地を短時間で効率よく点検するのに向いています。

そのため、太陽光パネルの点検にもドローンを活用でき、広大な敷地に設置されているパネルの異常を迅速に探し出せるというメリットがあります。

ドローンによる太陽光パネルの点検は、赤外線カメラを搭載したドローンを使用し、ホットスポットを見つけるといったものです。

ホットスポットとは・・・太陽光パネルが熱異常を起こしている箇所のことで、通常の目視では探すのに多大な時間と労力が必要です。

ドローンの登場により、太陽光パネルの点検も今までよりも効率よく行えるようになりました。

気になるドローン点検の費用とは

点検する対象や点検方法によりドローン点検の費用は変動します。

ドローン点検では、簡易的なものからインスペクションに対応したものまで、さまざまな種類があります。

インスペクションとは・・・既存住宅を売却・購入する際の査定などに用いる住宅診断のこと。

しかし、既存の点検方法よりもドローンを用いることで効率化が可能で、安全面・コスト面に優れているため、総じてコストパフォーマンス良く点検が可能です。

家屋やマンションをドローンで目視点検する場合、規模にもよりますが1件5000円〜5万円程度で点検が可能です。

また、無料サービスでドローン点検する業者も存在しており、その多くがドローンを扱うことのできる工務店となっています。

足場を組まずに点検が可能なドローンだからこそ、省コスト・省時間での点検が可能なため、サービスとしてドローン点検を実施できます。

赤外線調査の場合、機体コストが高く撮影データの解析に技術と時間が必要なため、20万円〜70万円ほどの費用が必要です。

簡易的な赤外線点検をサービスで行う業者は多くありませんが、確かに存在はしているようなので、気になる方は調べてみましょう。

ドローンで点検を行うメリットとは

ドローンで点検を行う代表的なメリットは、人の介在が減り安全面が確保できる点と、従来の方法と比べて効率化が可能なため省コストで実施できることです。

現在、さまざまな点検用途に対応するために、それぞれ特化した機能をもつドローンが開発されています。

実際に、市街地での赤外線点検に特化したドローンや屋内の狭所での点検のために開発された、360度撮影が可能なマイクロドローンなどが開発されています。

さまざまなドローンが開発されている背景としては、安全面の強化と点検効率の向上が挙げられます。

そこでここからは、ドローン点検の大きなメリットでもある安全面と効率化について詳しく解説します。

安全面

ドローンを用いて点検作業を進めることで、安全面の強化に繋がります。

家屋点検を例に挙げると、従来は足場を組み人が直接屋根に登り点検する必要がありました。

人が直接屋根に登る点検方法では、足場を組むための費用と時間がかかり、何より作業者が落下する危険性があります。

対してドローンで点検する方法では、足場を組むことなく遠隔操作で損傷箇所を確認できるため、安全な点検が可能となっています。

また、足場を組む方法では直接屋根に登れるため、故意に屋根を壊して修理を請け負う悪質な業者もいるようなので注意しましょう

効率化

ドローン点検の導入で実現できるメリットは、作業の効率化です。

ドローンで簡易な家屋点検をする場合、1軒30分〜1時間程度で点検が完了します。

また、ドローンを活用することで自動飛行のプランを組んで点検を実施でき、足場を組む時間や費用も必要ないため、大幅な時間短縮・少人数化・省コストが可能です。

また、大規模な建物の場合、ドローンを用いた3Dマッピングにより蓄積したデータと点検したデータを照合することで、損傷箇所の迅速な発見が可能となります。

ドローン点検の6つの課題

ドローン点検は、作業者が届かない場所の点検や作業員のコスト削減など様々なメリットがある反面、デメリットも存在します。

そこでここでは、ドローン点検の課題を徹底解説します。

【ドローン点検の課題】
1.どこでも点検できるわけではない
2.墜落事故の可能性がある
3.打音作業や触診などの検査方法ができない
4.飛行音による騒音トラブル
5.非GPS環境では手動操縦に切り替える必要がある
6.フライト時間が短く何度かバッテリー交換が必要

それでは、1つずつ詳しく解説します。

1.どこでも点検できるわけではない

点検用のドローンだからといって、どこでも簡単に撮影できるわけではありません。

形状やサイズが一定であるため、橋の隙間など狭い場所には入りにくく、撮影が難しい場合があります。

特に建築物によっては、人が体をひねってようやく入れるような場所もあり、こうした狭所では点検用ドローンの能力が十分に発揮できないことがあります。

技術の進歩により、特定の機種では2台のカメラを搭載して、車の自動運転のような飛行を実現するものも登場しています。

2台のカメラで3D映像を作り、障害物との位置関係を把握する仕組みとなっています。

メーカーの努力により、点検用ドローンも進化し続けていますが、まだすべての場所をカバーする性能・機能は備わっていません。

2.墜落事故の可能性がある

点検用ドローンは空中からの点検を行うため、効率的な作業を可能にする一方で、墜落や事故のリスクが伴います。

事故の原因はさまざまであり、操縦ミスなどの人為的な要因も避けられず、天候にも大きく影響を受けやすい点も課題となっています。

防水機能を備えたドローンも登場していますが、ドローンには高度なセンサーが多数搭載されているため、気象条件の変化にはデリケートな対応が求められます。

特に風の影響を受けやすく、国土交通省のガイドライン『無人航空機飛行マニュアル_インフラ点検を目的とした(場所を特定しない)申請について適用』では、ドローンの耐風性能を超える風速では飛行を控えるよう推奨されています。

このガイドラインに従い、飛行許可を得ることが一般的であり、風速管理は不可欠な要素です。

さらに、天候が良好な場合でも、橋梁の下などGPSが届かない場所では安定した飛行が難しくなります。

特に衛星通信が利用できない環境ではRTK測位が機能せず、操縦者の技術が重要な役割を果たします。

こうした状況に対応するため、GPS信号が届かないエリアでも安定した自律飛行を可能にする点検用ドローンの開発も進められており、今後の技術革新が期待されています。

3.打音作業や触診などの検査方法ができない

現在、点検用ドローンには打音検査機能を備えた機種が存在していません。

打音検査とは・・・コンクリートなどの構造物をハンマーなどで叩いた際に生じる音の変化を確認し、内部に亀裂があるかどうか、鉄筋が劣化していないか、空洞ができていないかなどを検出する方法です。

ドローンの安全な運用には「周囲の人や物から十分な距離を確保する」という基本原則があり、打音検査はこのルールに反するため、ドローンによる打音検査は現状では難しいとされています。

それでも、打音検査は点検用ドローンに求められる機能の一つであり、実際に構造物と接触するドローンの開発が進行中です。

また、点検用ドローンは触診もできない点が課題です。人間の場合、異常が疑われる部分を直接触って確認できますが、ドローンでは可視カメラや赤外線カメラでの映像によるチェックに限定されます。

非破壊検査が可能な点検用ドローンも技術の進展によって登場し始めていますが、その普及にはまだ時間がかかると見られています。

4.飛行音による騒音トラブル

点検用ドローンは特有の飛行音を発生させるため、騒音トラブルに発展することがあります。

また、住民が点検用ドローンの存在に気付き、不正な撮影を疑ってしまうケースも考えられます。

そのため、ドローンを飛ばす前には、周辺の住民や学校などの施設に対して事前説明する必要があります。

特に学校の近くでは、子供たちがドローンに興味を持ち、騒ぎになる可能性があるため注意しなくてはなりません。

さらに、国土交通省から飛行許可・承認を取得していたとしても、誤解や予想外の通報が発生するのを防ぐため、警察にも事前に連絡を入れておくことが重要です。

法規を遵守していても、誤解や騒音、珍しさなどが原因で騒動が起きる場合もあります。

また、場所によってはデータを収集するために最適な時間帯が異なることもあるため、周辺環境の事前調査も入念に行いましょう。

5.非GPS環境では手動操縦に切り替える必要がある

ドローンは、GPS信号が届かない環境での飛行が安定しにくいことから、高度な手動操縦技術が求められます。

特に、橋やトンネルなどの構造物点検においては、GPS信号が届かないエリアを飛行することが多いため、位置情報に依存せずに操作する技術が重要となります。

Skydio X10の画像

出典:Skydio

近年では、『Skydio X10』のようなGPSの届かない場所でも安定飛行が可能な自律飛行型ドローンの開発が進んでおり、実際にそのようなドローン技術を提供する企業も登場しています。

6.フライト時間が短く何度かバッテリー交換が必要

ドローンには、飛行時間が限られているという課題があります。

通常、ドローンの飛行可能時間は約30〜40分程度ですが、気温や高度、飛行方法によってはさらに短くなることもあります。

特に点検業務で使用する際は、現場によっては複数回のバッテリー交換が必要になるケースがあるため、効率面での課題も考慮しなければなりません。

一方、技術革新により、従来よりも長時間の飛行が可能なドローンが開発されつつあり、この問題も将来的には解決される見込みです。

例えば、ブルーイノベーション株式会社が販売する点検用ドローン『ELIOS 3(エリオス3)』は、飛行時間最大12分半で、1回の飛行で従来よりも1.6km以上長く飛行できます。

また、バッテリー交換が容易なため、手間がかからないのも進化しています。

ドローン点検のおすすめの会社は?

ドローンフロンティア出典:ドローン・フロンティア

ドローン点検のおすすめの会社は、東京都に本社を構える株式会社ドローン・フロンティアです。

ドローン点検の全国出張にも対応しており、年間150棟以上の赤外線解析実績を持つドローン・フロンティアは、どんな建物でも安心してドローン点検を依頼できます。

ドローン・フロンティアが行う赤外線調査は、建築基準法12条に基づく調査で、従来の打診点検と同じく法定定期点検にも対応しています。

ドローン・フロンティアの赤外線点検費用は、1000平米以下の場合、相場と同じく約30万円かかります。

従来の打診点検では足場代込みで約100万円の費用が必要になるので、ドローン点検に切り替えることで7割の費用削減が見込めます。

ドローン・フロンティアのドローン赤外線点検にかかる日数は最短半日で、足場を組む方法だと1ヶ月間ほど期間が必要となるので、比較すると大幅な時短になります。

そして、点検スタッフは赤外線診断の公的資格も保持しているため、調査と解析の精度もハイレベルなものとなっています。

また、ドローン・フロンティアではドローン点検を行うスタッフの経験値も高く、総飛行時間が1000時間以上のパイロットも多数在籍しているため安心して調査を任せられます。

ドローン点検の仕事に就きたいなら資格を取得しよう!

ドローン点検の仕事に就くためには、ドローン操縦免許はもちろん、飛行実績と点検の経験・知識が必要です。

ドローン操縦免許がなくても飛行許可を取得することはできますが、クライアントへの説明の際にドローン操縦免許が役立つ場合があります。

そのためドローン操縦免許は、ドローンに関連した仕事をする上で必須の資格と言え、資格取得に伴うドローンの操縦や知識を学べる以上のメリットがあります。

また、2022年内を目標にドローン操縦免許の国家資格化が検討されているため、資格を取得していない場合はドローンを飛ばせない可能性があります。

ドローンの機体登録制度に関して詳細情報を知りたい方は、以下記事を参照してください。

ドローンの機体登録制度は2022年6月20日から!登録方法を解説!

そして、ドローン操縦免許の他に必要となる点検に関する技術・知識の習得のためには、独学で勉強する方法と、仕事をしながら学ぶ方法、ドローンスクールの講座を受講して習得する方法があります。

ドローン点検をはじめとしたドローン関連の仕事に就きたい方は、点検作業に対応したドローンスクールを受講し、知識・技術ともに習得することをおすすめします。

関連記事

  1. 【2024年最新】ドローンのおすすめ人気ランキングTop10!人気の理由や選び方も解説!

  2. ドローン 配達のアイキャッチ画像

    日本でドローン配達は実現可能?いつ実現する?

  3. DJI公式サイト「Phantom 4 Pro V2.0」の画像

    DJI Phantom 4 Pro V2.0を紹介【プロ仕様の空撮ドローン】

  4. 【2023年最新】100g未満のドローンでも適用される飛行規制とは?

  5. 雲の上のドローンの画像

    【2023年最新】ドローンを飛ばせるおすすめ空撮スポット(場所)はどこ?

  6. DJI RSC 2公式サイトの画像

    DJI RSC 2を紹介【優れた携帯性とハイパフォーマンスのプロ用カメラジンバル】

おすすめのドローンスクールはこちら
無料説明会はこちらから
おすすめのドローンスクールはこちら
無料説明会はこちらから