ドローン測量は旧来の測量方法に対してどのような点で優れているのでしょうか?
ドローン測量を導入した場合に得られるメリットを「地上測量」と「旧来の航空測量」との比較でご紹介します。
今までは航空レーザー測量が主流だった
航空レーザー測量とは、「航空機に搭載したレーザー測距装置から、測定地点に向けて放射状にレーザパルスを照射し、広範囲に高密度・高精度な地表のデータを取得」する測量方法のことです。
詳しい内容はここでは必要ありませんので、ざっくりと「航空機から地上の高さをレーザーによって直接計測する測量のこと」と覚えておいてください。まさにそのままの意味ですね。
この航空レーザー測量は、2001年から長いあいだ国土地理院で実施されていました。
航空レーザー測量のメリット・デメリットについて
航空レーザー測量は、当時革新的な技術として広がっていきました。しかし、あくまでそれ以前の写真測量と比べて優れているということであり、メリット・デメリットが混在していたのです。
ここでは、簡単にメリット・デメリットをまとめておきましょう。
航空レーザー測量のメリット・デメリット | |
メリット | デメリット |
・密度の高いデータを取得できる ・地表で50~60cm、または、それ以下の間隔で計測でき、地表面の高さを面的に把握できる ・レーザーパルスは一定の広がりを持った円形で、1回のビームで、いろいろなところで反射し、最後に地表で反射した信号まで帰ってこれる ・レーザーパルスが通り抜けられるものであれば、林地でも関係なく樹上と地盤のそれぞれの高さを計測できる ・人が入っていけないような危険な場所でも計測できる ・反射強度も計測しているため、強度の違いからどんな地物によって反射したのかをある程度推測できる |
・雨や雲によって散乱・反射の影響を受けるため、天候によってデータにずれが生じる可能性がある ・狙った地点へ局所的にレーザーを照射することはできないため、ピンポイントな計測はできない ・照葉常緑樹(シイ、カシ、ツバキなどの密林)では、レーザパルスは地面まで到達しづらい ・水中、地下は測量不可能 ・費用が高い |
では、ドローン測量は航空レーザー測量と比較してどのような点が優れているのでしょうか。説明していきます。
【ドローン測量の有利点】短時間で計測可能
ドローン測量は、短時間で計測できます。
例えば、2ヘクタールの土地を空中からドローンで写真測量した場合、飛行時間は1時間程度で、準備と撤収を含めると半日程度で済ませることができます。
航空レーザー測量の場合、1フライトでの飛行時間は測量範囲にもよりますが大体3時間程度です。もちろんドローン同様、広範囲の測量も可能ですし、短時間でフライトを終了することもできますが、ガソリン代など諸々経費も掛かるため、やはり3時間程度飛ばすのが通例となっているようです。この場合、やはり1日がかりの作業となってしまうでしょう。
よって、短期間で局所的に測量ができるドローンは航空レーザー測量よりも融通が利くため優れていると結論付けることができます。
ちなみに、地上測量と比べると最短1/6程度まで短縮可能です。
【ドローン測量の有利点】コンパクトで小回りが利くのでどんな場所でも測量可能
ドローンは、コンパクトで小回りが利くため、航空機では入り込む余地のないような狭い場所でも容易に測量することができます。
よって、より自由に動くことができるドローンの方が航空機よりも優秀であるということがわかります。
【ドローン測量の有利点】圧倒的にコストパフォーマンスが高い
航空機で測量を行う場合、どうしても避けては通れないのが費用がかかるという点です。
条件によって価格は大きく異なりますが、航空機で測量を行う場合の相場は100万円程度だと仮定すると、ドローンで測量をする場合ば十数万円の予算で行うことができます。
ドローンによる測量は、経費削減に大いに貢献するのです。
【ドローン測量の有利点】データ取得の制度が高い
ドローンは、航空機と比べてより低い位置で飛行することができます。具体的には、地上から100メートル程度上空からの空撮が可能となります。
航空機の場合、どうしても地上から100メートルの位置から測量することはできません。一般の航空機であれば、高度1000メートル以上は求められます。
当然の事ですが、どれだけ航空機のレーザーが高性能であったとしても、より近い位置から撮影しているドローンの方が、精度の高いデータを取得できるということです。
ドローン測量のデメリットは?
メリットとデメリットが表裏一体となっているのですが、やはり航空レーザー測量測量を行う場合には、ドローンよりもより広範囲の測量が可能となります。
何百ヘクタール単位もの土地を一気に測量したい場合には、ドローンは不向きです。バッテリー交換で、複数回の離着陸が必要となることでしょう。その時間を含めると、航空機で測量するよりも時間がかかってしまいます。
これをデメリットとするかどうかは考え方次第ですが、要は「測量を行う広さによって適切な方法がある」ということです。
基本的な測量にはドローン。ただし、広範囲の測量には航空機。というように、併用して使うのが良いでしょう。
この記事へのコメントはありません。