日本は今まで何度も航空法の改正が行われ、2024年頃を目途にドローンをビジネス面で活用するために政府が動いてます。
ドローンは空撮で注目を集めましたが、これからは配送や点検など様々な分野で利用されることが予想されています。
更に現在はドローンが身近な物になりつつありますが、ドローンも車と同じくルールが定められているので、飛行前に航空法の知識をある程度勉強しておく必要があります。
そこで本記事では、ドローンを飛行させる際に把握しておくべき航空法を紹介します。
【本記事でわかること】
・ドローンの法規制やルール
・ドローンを飛ばす空域や場所に関連する法規制について
・ドローンの飛行方法に関する法規制について
・航空法の規制を受けないケース
そもそもなぜドローンには規制やルールが必要か?
ドローンは誰でも購入可能ですが、規制やルールが設けられているため、どこでも自由に飛行できるわけではありません。
ドローンに規制やルールが設けられている理由は、下記の2点が挙げられます。
・周辺にいる人の身を守るため
・大きな事故を防ぐため
今まで発生したドローンの事故は、国土交通省のホームページで閲覧できますが、特に注目されたのが2015年4月22日に発生した首相官邸無人機落下事件です。
出典:日本経済新聞
首相官邸無人機落下事件は、内閣総理大臣官邸の屋上にドローンが墜落した事件で、同年では他にも多数のドローン事件が発生したことから規制が始まりました。
他にもドローンでの人身事故も発生しており、実際に怪我人が出ています。
ドローンは時速70kmで飛行できることや、スペック上6,000mまで飛行できるので、命に関わる問題に繋がります。
よって、小型無人機等飛行禁止法は周辺にいる人を守るためにあり、航空法を守ってドローンを飛行させることが必須条件になります。
また、最近のドローンは映画の撮影や点検作業にも利用されるほどカメラの機能が向上しており、プライバシーを守るためにも航空法が必要です。
中にはカメラズームに特化したドローンも存在するため、ズーム機能を悪用して盗撮される恐れがあります。
ドローンの操縦者から見ると、このような規制やルールは面倒に感じてしまうかもしれませんが、周りの人を守るために航空法があることを覚えておきましょう。
しかし、いつまでも厳しい規制を実施していると、日本が抱える様々な問題を解決できません。
当サイト「郵送に関する情報」でも紹介しましたが、法改正を実施してドローンを業務に取り入れることで、物流や点検作業など日本が直面している問題を解決できます。
ドローンは使い方によってとても危険な物になりますが、正しく利用すれば人件費の削減・作業効率の向上が実現するなど便利なものです。
これから日本の経済を支えるにはドローンの力も必要になるため、厳しい規制も段階的に解除されていきます。
ドローン飛行には必要な手続きがあるので、当サイトの記事を参考にして事前に準備しておきましょう。
・無人航空機登録について
・国家資格について
・無人航空機の飛行申請について
ドローンの法整備やルールがしっかり制定されれば、私たちの生活に必要不可欠な存在となります。
今のうちにドローンの法規制を熟知し、安全にドローンを飛ばしましょう。
ドローンを飛ばす空域や場所に関する規制
ドローンを飛ばすためには、まずは場所選びが必要です。
前述でも紹介した「首相官邸無人機落下事件」を受け、国の重要な施設や原発付近ではドローンの飛行が禁止されています。
中国にある世界最大のドローンメーカーであるDJIのドローンは、国の重要な施設や原発付近などの重要な地域では、パイロットに警告を出す「ジオフェンス機能」やエリアに接近するドローンを現地当局が認識・監視可能な「AeroScopeリモートIDシステム」が搭載されているドローンも開発されています。
ドローン飛行許可申請書を国土交通省に提出することで飛行できますが、重要施設や禁止エリアで警告が出るシステムが搭載されているドローンであれば、誤って飛行禁止エリアで飛ばしてしまう恐れがないので安心できます。
ですが、機能だけに頼っていると他の法律に引っ掛かる可能性もあります。
前述で紹介したドローンのアシスト機能は、あくまで上記の機能はサポート程度だと考え、自分の頭の中で飛行禁止の条件を把握しましょう。
無人飛行機の飛行禁止条件は国土交通省の公式ホームページで確認できます。
・空港等の周辺上空の空域
・緊急用務空域
・150m以上の空域
・人口集中地区の上空
空港等の周辺上空の空域は主に空港やヘリポート周辺での飛行が禁止されており、飛行するには申請が必要な空域となります。
出典:国土地理院
また、飛行禁止エリアは国土地理院が提供しており、「東京」「神奈川」「愛知」「大阪」は禁止エリアが広がってます。
このエリアに関する詳細も国土交通省の公式ホームページで発表されてますが、飛行禁止エリアに対して飛行申請する場合、「空港やヘリポートを管轄する機関」に申請し、通った後に「国土交通省」に申請を送る必要があります。
空港に近い場所で飛行する場合も申請が必要なので、国土交通省が提供しているスライドを確認しましょう。
緊急用務空域は、警察や消防活動する空域が対象となりますが、ヘリコプターが利用している可能性があります。
緊急用務空域では、ヘリコプターの邪魔になる恐れがあるので、飛行許可申請を出しても申請が通ることはほぼありません。
150m以上の空域は、日本の土地全てが対象となってます。
もし150m以上の上空を飛行させる場合は、その150m以上の空域を管理する管制機関に確認を取った後、国土交通省に飛行申請する必要があります。
150m以上の飛行も国土交通省のホームページで紹介しているので、確認してみましょう。
人口集中地区の上空は、国勢調査の結果で一定の基準に満たしている地域が対象となります。
対象地域は「総務省統計局の公式ホームページ」もしくは「国土地理院の公式ホームページ」で確認できます。
人口密集地は、その土地の管理者に連絡を取る必要があり、確認が取れた後国土交通省に申請を送る必要があります。
もしその土地の管理者に許可を取らずにドローンを飛行させた場合、プライバシーや肖像権などを侵害する恐れがあるので注意しましょう。
出典:総務省
プライバシーや肖像権に関する資料に関しても「総務省の公式ホームページ」で閲覧可能です。
空撮や物資の飛行などは人の生命や権利に関する問題に直結するので、必ず土地の管理者や所有者に許可を取りましょう。
ドローンの飛行方法に関する規制
上記の章では、ドローンを飛行させる場所についての情報を記載しましたが、ここからは飛行する際に必要なルールを紹介します。
飛行させる場所を守っても飛行方法を破ると罰則を受けるので、飛行方法も必ず頭に入れておきましょう。
【ドローン飛行に関する法規制】
1.飲酒や薬物を体に入れた状態で飛行させないこと
2.飛行前に周りやドローン本体を確認すること
3.他の航空機や無人航空機と衝突しないように確認すること
4.他人に迷惑がかかる飛行しないこと
5.日出から日没の間に飛行させること
6.目視確認できる範囲内で飛行させること
7.他人や他人の所有物から30m以上離して飛行させること
8.祭りやイベントなど人が集まる場所では飛行させないこと
9.危険物を運ばないこと
10.物を投下しないこと
ドローンを操縦する際は、飲酒状態や違法薬物、副作用のある薬を取り入れた状態で無人航空機を飛行させてはいけません。
飲酒や薬物を体内に入れた状態でドローンを操縦することは、正常な判断ができないことや体の異変でドローンを操作できない危険性を排除するために規制が設けられています。
身近な例でいうと車と同じようなルールで、意識が薄い状態でドローンを飛行させて事故を起こさないことを目的としてます。
ルールその②の「飛行前に周りやドローン本体を確認すること」は、ドローン本体に異常がないか、周りの環境は安全かを確認する法規制です。
もしドローンに異常が発生しているとコントロールが効かなくなり、重大な事故に繋がる恐れがあります。
また、ドローンは風速5m/s以上の風がある場合は飛行させてはいけません。
ドローンは天気によって安全性が大きく変化するので、特に風が強い日は十分に注意しましょう。
ルールその③の「他の航空機や無人航空機と衝突しないように確認すること」は、飛行機や他の人が飛行させているドローンに衝突しないように気を付ける法規制です。
航空機同士の事故も大きな事故に繋がるので、ドローンを飛ばす際は周囲を必ず確認しましょう。
ルールその④の「他人に迷惑がかかる飛行をしないこと」は、周りの人が不快に思わない飛行を心がけましょうという法規制です。
ドローンを飛行させるとプロペラ音が目立ち、人によっては恐怖を感じる方もいます。
また、ドローンで勝手に撮影されるのを嫌う人もいるため、他の人が不快な気持ちにならないような飛行を心がけましょう。
ルールその⑤の「日出から日没の間に飛行させること」は、太陽が出てない時にドローンを飛行させると航空法に触れてしまうという内容です。
日の出前や日没後は視界が悪くなり、事故を起こしてしまうリスクが高まります。
日の出と日没時間は自分の体感で決めるのではなく、国立天文台暦計算室のデータを元に確認してみましょう。
もし、夜間にドローンを飛行させたい場合は、国土交通省に申請しましょう。
ルール⑥の「目視確認できる範囲内で飛行させること」は、自分の視界に入るエリアでのみドローンを飛行させましょうという法規制です。
眼鏡やコンタクトレンズで見える範囲は目視として扱われますが、双眼鏡や第三者の確認は目視に適用されないので注意しましょう。
もし、目視外飛行させる場合は、事前に国土交通省へ申請しましょう。
ルール⑦の「他人や他人の所有物から30m以上離して飛行させること」は、ああ他人や他人の所有物から30m以上離しての飛行は「人」や「建物」「車」などが対象となる法規制です。
もし、空撮の仕事で建物の近くに接近する場合は、事前に国土交通省に申請しましょう。
ルール⑧の「祭りやイベントなど人が集まる場所では飛行させないこと」は、航空法に触れない場所でも人が集まる場所でドローンを飛行させる場合に適用される法規制です。
特にお祭りやイベントなどが対象で、ドローンショーを開催するには事前に国土交通省への申請が必須となるので覚えておきましょう。
ドローンショーは代行サービスがあり、申請から当日の飛行まで代行してくれるのでおすすめです。
ドローンショーについては別記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてください。
・ドローンショーとは?
・ドローンショーの相場
・ドローンショーの開催までの流れ
ルール⑨の「危険物を運ばないこと」は、爆弾など人の生命に関わるものを運んではいけないという法規制です。
この法規制はテロ対策にも繋がっており、戦争でも利用される規制となっています。
もし万が一、危険物を運ぶ際には事前に国土交通省へ申請しましょう。
ルール⑩の「物を投下しないこと」は、遠くにいる人に物を運ぶ目的などでドローンから物を投下することを禁止している法規制です。
飛行場所の環境により投下したい場所以外に物を落下すると、第三者が怪我してしまう可能性があります。
もし、物資投下する際には事前に国土交通省へ申請しましょう。
他にも、下記のように地方が独自に制定したルールなどもあるので、合わせて確認しましょう。
・地方独自のルール
・道路で離着陸を行う(道路交通法)
・公園での飛行ルール(自然公園法や都市公園法)
・河川や港のルール(海上交通安全法)
・農業に利用する時のルール
・電波法(日本正規のお店で購入すれば問題なし)
ドローンの飛行規制は数多くの種類があり、すべてを覚えるのは大変ですが、もしドローンを飛行させる場合は当記事の内容を見返して法律を守ってほしいと思います。
反対に航空法の規制を受けないのはどんな時?
ドローンを飛行させる際、特定の環境によっては航空法に触れないので、これからドローンを始める方は法規制を受けない方法を試してください。
ここからは、航空法の規制を受けない方法を下記で紹介します。
・100g未満のドローン
・室内飛行
・人命救助
100g未満のドローンは、「トイドローン」とも呼ばれてますが、航空法が適用されないドローンとなってます。
そのため国土交通省への機体登録が不要なので、誰でも自由に飛行できるというメリットがあります。
緩い法規制でドローンを飛ばせるトイドローンですが、「飛行禁止エリア」や「交通機関の妨害」、「危険な飛行」は罰則の対象となるため覚えておきましょう。
ドローンを飛ばす際、自宅やドローンの練習場などでは、航空法が適用されません。
100g以上のドローンだとしても、室内であれば自由に飛行できるので、法規制を気にせず飛行できます。
自宅内で100g以上のドローンを操縦するのは少し難しいかもしれませんが、初心者がこれから練習する場合はドローン専用の飛行場を探してみましょう。
ドローンを飛ばせる場所やスポットを詳しく知りたい方は、下記記事を参照してください。
【2022年最新】ドローンを飛ばせるおすすめ空撮スポット(場所)はどこ?
家によって庭や屋上がついている方もいると思いますが、庭や屋上は屋外に該当し、航空法が適用されるので注意が必要です。
あくまでも室内であることが条件なので、庭や屋上だからと言って自由に飛行できる訳ではないことを覚えておきましょう。
人命救助は、国、地方公共団体などから依頼を受けた方は事故や災害時に限って、国土交通省への申請を出さずにドローンを飛行できます。
日本は自然災害大国でもあるので、医療・災害・人命救助の分野でもドローンが活躍できるかもしれません。