ドローン業界は、今後さらなる市場拡大が期待されています。
すでにインフラ点検や農業でドローンの活用が進んでいますが、『どの分野でドローンビジネスを展開すべきか』と悩む方も多いと思います。
そこでこの記事では、ドローンビジネスの市場規模や将来性はあるのか、ビジネスモデル、そして活用可能な分野について紹介します。
具体的な活用例や起業のポイントも解説するので、ドローンビジネスを始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
【本記事でわかること】
・ドローンビジネスの市場規模
・ドローンビジネスの将来性
・ドローンのビジネスモデル
・ドローンビジネスの活用が進んでいる分野
・ドローンビジネスで起業するためのポイント
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ドローンビジネスの市場規模とは？
出典：インプレス総合研究所
日本国内のドローンビジネス市場の規模を確認するため、株式会社インプレスが提供するインプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2024」を参考にしてみましょう。
2023年度の日本におけるドローンビジネスの市場規模は、3854億円と推定されています。
2022年度の3111億円から743億円増加し、前年度比で23.9％の成長を見せています。
さらに、2024年度には前年比21.5％増の4684億円に達し、2028年度には9054億円に拡大すると予想されています。
2023年度から2028年度までの平均年間成長率は18.6％と見込まれています。
ドローンビジネスの将来性はある？
インプレス総合研究所の調査では、2028年にはドローン市場の規模が9,000億円を超える成長を遂げる可能性があると予想されています。
2022年12月にドローンの「レベル4」飛行が解禁され、有人地域での目視外での自律飛行が可能となりました。
これにより、今後は都市部での物流サービスをはじめとするさまざまな分野で、ドローンの活用がさらに期待されています。
また、近年では、テレビやYouTubeなどでFPVドローンが使用される機会が増加し、ドローンの認知が年々拡大しています。
さらに、全国各地で月平均5～10回のドローンショーも開催され、「ドローン」というモノの認知が大幅に拡大していることが分かります。
ドローンは3つのビジネスモデルが存在する
ドローンのビジネスモデルは、主に『サービス市場』『周辺サービス市場』『機体市場』の3つの市場に分けられます。
それぞれの詳細は以下の通りです。
| 市場の種類 | 市場規模（2023年度） | 概要 |
| サービス市場 | 2,564億円 | ・建設、土木、物流、防犯、農業、林業、保守メンテナンス、防災などの多様な分野でドローンを活用した事業が展開されている。 ・ドローンの実証実験と社会実装が進展しており、今後さらなる成長が期待される。 |
| 周辺サービス市場 | 778億円 | ・ドローンスクールの運営や、バッテリー・消耗品のメンテナンス事業が含まれる。 ・ドローン保険の整備も進んでおり、商業化が進むにつれて関連サービスの拡大が予想される。 |
| 機体市場 | 1,051億円 | ・農業、インフラ点検、物流などの業界で使用されるドローン機体の販売が行われている。 ・ドローンの離着陸に使用する「ドローンポート」もこの市場に含まれる。 |
この中でも、最も大きな市場は「サービス市場」であり、社会への導入が進んでいるため、今後も大きな成長が期待されます。
さらに、レベル4飛行を行うためには「一等無人航空機操縦士」の資格と、「第一種型式認証」を受けた機体が必要です。
この要件により、周辺サービス市場ではスクール事業がさらに活発になると予測されます。
また、サービス市場が拡大する中で、用途に応じた機体の需要も増加すると考えられています。
ドローンのビジネス活用が進んでいる分野6選
ここでは、ドローンのビジネス活用が進んでいる分野6選を紹介します。
【ドローンビジネス活用が進んでいる分野】
1.物流
2.防犯セキュリティ
3.農業や林業
4.ドローン点検
5.土木・建築
6.防災
それではここから、ドローンのビジネス活用が進んでいる分野を1つずつ解説します。
1.物流
ドローンビジネス活用が進んでいる分野として、物流が挙げられます。
ドローンによる配達が物流分野で実現すれば、ドライバー不足の解消や交通渋滞の改善に貢献する可能性があります。
現在、ドローン配達を実現するために、さまざまな実証実験が進行中です。
特に、レベル4飛行が解禁されたことにより、有人地域での自律飛行が可能となり、住宅街でのドローン配達が大いに期待されています。
ドローンの配送は、複数の機体を同時に飛行させなければならないため、2025年頃から一般的なドローン配送が実現するのではないかと予測されてます。
2.防犯セキュリティ
出典：SECOM（セコム）
防犯セキュリティ分野でも、ドローンを活用することで人手不足の解消や警備能力の向上が期待されています。
例えば、広大なエリアの警備強化を目的に、ローカル5G無線通信を利用して、ドローンによる遠隔監視や巡回を実現するための実証実験が行われています。
また、2025年に開催予定の関西万博（日本国際博覧会）に向けて、関西電力がドローンを活用した防犯および見守り機能の有効性を検証する実験を実施しました。
このシステムでは、5G・Wi-Fi、カメラ、デジタルサイネージなどを備えたスマートポールにドローンが連携し、AIがカメラ映像を分析して会場内の異常を検知すると、ドローンが現場に急行する仕組みが採用されています。
このようなドローン実証実験については、関西電力や大阪ガスが関西万博に向けて実施した取り組みでも詳しく説明されています。
今後、ドローンとの通信の安定化には5G技術の活用が鍵となると見られており、株式会社ミライト・ワンが「ローカル5G無線エリア構築ソリューション」を提供しています。
3.農業や林業
農業や林業の分野では、ドローンの活用に対する期待が非常に高まっています。
実際に、農薬や肥料の散布、種まき、受粉作業、さらには鳥獣被害の対策といったさまざまな用途でドローンが利用されています。
| 活用例 | 概要 |
| 農薬散布 | ヘリコプターによる防除作業を補うために、ドローンを使用して農薬散布を実施 |
| 肥料散布 | 中山間地域のように人が立ち入りにくい場所で、ドローンを活用して上空から肥料を散布 |
| 播種 | 水稲の直接播種作業において、ドローンを使用して効率的に種を撒く |
| 受粉 | 果物の受粉作業において、ドローンを使って花粉溶液を散布し、受粉をサポート |
| 鳥獣被害対策 | ドローンによる空撮でシカやイノシシの生息地や行動を把握し、それに基づき農作物の被害対策を実施 |
ドローンを導入することで、現場作業の一部を自動化できるため、作業者の負担が大幅に軽減されると期待されており、こうしたドローンを活用した取り組みが各地で進行中です。
4.ドローン点検
ドローン点検の分野では、アクセスが困難な場所や設備の点検にドローンが積極的に活用されています。
2021年9月に航空法施行規則が一部改正されたことで、ドローンの使用に関する規制が緩和されました。
さらに、2022年4月からは建築基準法に基づく法定定期点検でも、ドローンを用いた赤外線調査が認められたため、点検におけるドローンの活用がさらに期待されています。
これらの法改正により、点検用ドローンの技術革新が加速し、安全性が向上するだけでなく、従来の点検費用と比べてコスト削減が実現しました。
その結果、インフラや設備建築の分野でドローンの導入が広がっています。
点検業務においては、民間企業が発注する設備点検や、行政機関が発注するインフラ点検の両方で、作業の効率化と精度の高い点検を低コストで行うことが求められています。
ドローンが活躍する場面は多岐にわたり、特に建設業界では屋根や建物外壁の点検など、公私を問わず多くの需要があります。
また、橋梁や風力発電所、道路や鉄道などのインフラ点検でもドローンが利用されており、従来は作業者が危険を伴って行っていた高所や狭所の点検を効率的に代行しています。
コストパフォーマンスの面でも優れている点検用ドローンは、今後さらに注目を集める存在と言えます。
5.土木・建築
土木・建築分野では、測量作業にドローンの活用が進んでいます。
人が立ち入りにくい危険な場所や、従来の三角測量が難しい現場では、ドローンを使用することで効率的に測量が行えるため、日々の進捗管理がよりスムーズになります。
6.防災
防災分野では、災害時の点検や被害状況の調査において、ドローンの活用が期待されています。
例えば、東京都江東区では災害対策として橋梁点検にドローンを導入しています。
ドローンは、陸上や橋の上からでは確認が難しい支承（ししょう）などの構造部分を撮影できるため、安全性の向上に貢献しています。
従来、災害現場の調査や救助活動にはヘリコプターが使われていましたが、出発までに時間がかかるという課題がありました。
一方、ドローンは迅速に現場へ飛行でき、広範囲を調査することが可能です。
そのため、迅速な被災地のマッピングや救済計画の作成に役立つとして、今後ますます活用が期待されています。
ドローンビジネスで起業する3つのポイント
ここでは、ドローンビジネスで起業するポイントを3つ紹介します。
【ドローンビジネスで起業するポイント】
1.どの分野でドローンを活用するか決定する
2.ドローン国家資格が取得できるスクールを受講する
3.ドローンを活用したビジネスプランを立てる
それではここから、ドローンビジネスで起業するポイントを1つずつ詳しく解説します。
1.どの分野でドローンを活用するか決定する
ドローンビジネスで起業するためには、最初に、ドローンをどの分野で活用するかを決めることが重要です。
最初にドローンを活用する分野を決める理由としては、分野によって使用するドローンの機体が異なるためです。
例えば、物流の分野では荷物を運搬できるようなドローンが必要ですが、点検作業では小型で操作しやすいドローンが求められます。
そのため、分野に応じた操縦技術や専門知識を学ぶ必要があるため、最初にドローンをどの分野で活用するかを明確にすることが不可欠です。
2.ドローン国家資格が取得できるスクールを受講する
続いて、ドローンの操縦技術や法律に関する知識を習得するために、ドローンスクールに通って資格を取得するのがおすすめです。
2024年10月時点では、ドローンに関する資格には国家資格と民間資格が存在し、主な資格は以下の通りです。
| 資格種別 | 内容 |
| 国家資格 | |
| 一等無人航空機操縦士 | レベル4の飛行に必要な国家資格 |
| 二等無人航空機操縦士 | この資格と特定の機体を組み合わせることで、特定の飛行において許可申請が不要となることがある国家資格 |
| 民間資格 | |
| JUIDA認定資格 | 無人航空機操縦技能と安全運航管理者の2つの資格を提供。海外団体との協力による国際標準化活動も行っている |
| DPA認定資格 | 操縦士とインストラクター資格を取得可能。資格取得と同時に保険加入もできる |
| JDC認定資格 | 自律飛行や目視外飛行の訓練を含むJDCパイロット認定資格を提供 |
| 日本ドローン協会認定資格 | ドローン操縦技能証明書やインストラクター証明書など、さまざまな証明書を取得可能。農薬散布や安全管理に特化したコースも利用できる |
| DJI JAPAN認定資格 | DJI CAMPスペシャリストとして認定され、適切な操縦技術や飛行モラルを学べる |
| IAU認定資格 | 操縦技能と安全運航管理責任者資格を取得可能で、全国の30以上のスクールで学習可能 |
| ドローン検定協会 | 無人航空従事者試験に合格することで証明書を取得可能 |
| DMA認定資格 | 初心者からプロまで、幅広いコースが提供されている |
ドローン国家資格を取得するなら、充実したアフターサポートが受けられ、スクール卒業後も講師とLINEでやり取りできる愛知県名古屋市にある『ドローン免許学校（旧NBドローンスクール）』をおすすめします。
ドローンスクールは全国各地にたくさんありますが、まずは無料相談会やお問い合わせして、自分の目的に合ったスクールを選びましょう。
3.ドローンを活用したビジネスプランを立てる
次に、ドローンを活用したビジネスプランの策定が必要です。
競合や市場の動向をしっかりと分析し、他社との差別化を図ったサービスを提供することが成功の鍵となります。
たとえば、ドローンを活用したイベントの設営支援サービスに参入することも、有望なビジネスプランの一例です。
まとめ
この記事では、ドローンビジネスの市場規模や将来性、ビジネスモデルを徹底解説しました。
また、ドローンビジネスの活用が進んでいる分野や、ドローンビジネスで起業するポイントを詳しく紹介しました。
ドローンビジネスのまとめ
・2023年度の日本におけるドローンビジネスの市場規模は、3854億円と推定されている
・2024年度には、ドローンビジネスの市場規模が4684億円に達する
・2028年にはドローン市場規模が9,000億円を超えるほど成長しているため、将来性があると言える
・ドローンは主に『サービス市場』『周辺サービス市場』『機体市場』の3つの市場に分けられる
・ドローンビジネス活用が最も進んでいる分野は、6つある
・ドローン活用内容を決定し、国家資格を取得、入念なビジネスプランを立てることでドローンビジネスにおいて起業しやすくなる
結論から申し上げますと、2028年にはドローン市場規模が9,000億円を超えることからもドローンビジネス分野において高い将来性が担保されていると言えます。
最近では、映画やアニメ、ドラマなどでドローンを使った演出が採用されていたり、アニメでドローンが再現され反響を呼び寄せたりしています。
また、災害や防犯の分野においてもドローンを有効活用し、人が立ち入れない場所の捜索や監視など、日常生活になくてはならないものに変化しています。
これからドローンビジネスを始めたいと考えている方は、どのような分野でドローンを活用し、ビジネスとして成立させるかを入念に計画しましょう。
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