ドローンの普及により「物流」「農業」「空撮」など様々な業界で活躍していますが、今後さらに他の業界でも活躍すると推測されています。
そんな中、日本でも2022年にドローンの国家資格の制度がスタートし、ますますドローンに注目が集まります。
今後はより多くの業界がドローンに関わっていくと考えられ、ドローンの操縦士の需要が増えていくことが予想できます。
そこで、「これからドローンの技術を身につけて働きたいけど、どんな資格が必要なの?」と考える方もいると思います。
今回は、現段階で取得できるドローンの資格について紹介します。
国土交通省が正式に公表しているデータを元に、ドローンの資格について深堀していきます。
ドローン資格が取得可能な講習とは?
国土交通省認定団体が行なっている講習ではドローン資格が取得でき、資格があると規制や飛行禁止区域でドローンを飛ばす際の申請を簡略化できます。
ドローンに関して理解を深めたいから「とりあえず近くの公園で飛ばしてみよう」と考える方がいると思いますが、ドローンには無人航空機に関する航空法が存在することを知っておく必要があります。
一番代表的なものは「小型無人機飛行禁止法」により定められた区域以外、かつ100グラム未満であることが必要です。
規則を破ると最大1年の懲役または50万円の罰金が科せられることもあるので注意しましょう。
ルールもあまり分からない状態でドローンを始めるのはとてもリスクがあります。
国土交通省に認定された講習を受ければ、航空法を考えることなくドローンの技術が身につきます。
国土交通省認定の講習団体で取得した資格は、飛行許可承認申請時に簡略されますが、国土交通省に認定されてない団体で取得すると「HP掲載団体技能認証なし」として扱われてしまいます。
国土交通省認定団体で資格を取得すれば、飛行申請も受理されやすく、申請から飛行までスムーズに行えます。
今後ドローンの仕事に関わることを想定すると、ドローンの資格を取得しておいたほうが仕事を有利に進められます。
国交省認定のドローン講習受講で取れる民間資格一覧
ここからは、実際にどのような資格があるのか確認してみましょう。
ドローンを作っている企業もドローンの資格を発行しています。
今回紹介する、ドローンの資格を取得できるのは下記の5団体です。
・DPA認定資格
・DJI認定資格
・JUIDA認定資格
・IAU認定資格
・ドローン検定協会認定資格
ドローンに関する知識を座学で学ぶ資格がありますが、今後仕事に活かしたい場合は実技のドローンスクールをおすすめします。
座学 | 実技 |
ドローン検定協会認定資格 | ・DPA認定資格 ・DJI認定資格 ・JUIDA認定資格 ・IAU認定資格 |
実技のドローンスクールだと値段が高くなってしまうので、その点も確認しましょう。
DPA認定資格
出典:DPA
DPA認定資格は「一般社団法人 ドローン操縦士協会」が発行している資格です。
ドローン協会でも特に規模が大きく、年々スクールの数も増加してます。
DPA認定資格の概要は、以下の通りです。
資格名 | ドローン操縦士回転翼3級取得 |
公式ホームページ | https://d-pa.or.jp/ |
料金 | ・受講費:2000,000円 ・ライセンス認定料:25,000円 ・技能会員証発行:9,000円 ・追記、再発行:6,000円 |
受講形式 | 実技 |
対応エリア | ・北海道×1 ・東北×3 ・関東×21 ・中部×6 ・近畿×6 ・中国×5 ・四国×1 ・九州×5 |
受講期間 | 2日~4日 |
出典:DPA
受講条件は、次の通りです。
・18歳以上
・視力が両目で07以上かつ、片目で0.3以上
・色の識別ができること
・50時間以上の飛行経験があること
・ドローン操縦士回転翼3級を保有していること
・ドローン操縦士回転翼3級の学科・実技を講習する際に必要な基礎知識を有すること
・ドローン操縦士回転翼3級の技能を講習するための技能を有すること
DPAの目的は、「ドローン操縦士の技術、技量の健全な発展を図り、航空の安全確保につとめ当該技術、知識の普及と諸般の調査研究を行うことを目的とする」です。
全国各地にスクールを展開しているので、誰でも受講できます。
DJI認定資格
出典:DJI
DJI認定資格は、ドローンやジンバル、アクションカメラを販売しているDJIが発行しているドローンの資格です。
DJIは中国の会社ですが、ドローン業界の中でもTOPレベルの会社で世界的に規模が大きい会社です。
DJI認定資格の概要は、以下の通りです。
資格名 | DJI CAMPスペシャリスト |
公式ホームページ | https://www.uastc.com/jp/ |
料金 | 受講費:110,000円 |
受講形式 | 実技 |
対応エリア | ・北海道×3 ・東北×10 ・関東×31 ・中部×14 ・近畿×9 ・中国×6 ・四国×4 ・九州×2 ・沖縄県×1 |
受講期間 | 2日 |
出典:DJI
DJI認定資格の受講のコースは複数あり、「DJI CAMP」「写真測量」「空撮」の三つですがメインとなる資格はDJI CAMPとなっています。
受講には以下のような条件があります。
・法人または個人事業主
・今まで累計で10時間以上ドローンを飛行させた
・DJI社のドローンで運用している方
受講期間は2日間と忙しい方でも受講が可能です。
JUIDA認定資格
出典:JUIDA
JUIDA認定資格は、「一般社団法人 日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」が発行している資格です。
JUIDAは、無人航空機を含む次世代移動 システムの振興を目的として活動している組織です。
JUIDA認定資格の概要は、以下の通りです。
資格名 | 無人航空機操縦技能証明証 |
公式ホームページ | https://uas-japan.org/ |
料金 | ・受講費:50,000円 ・年会費:10,000円 |
受講形式 | 実技 |
対応エリア | ・北海道×13 ・東北×33 ・関東×62 ・中部×47 ・近畿×31 ・中国×18 ・四国×14 ・九州×26 ・沖縄県×3 |
受講期間 | 3~4日 |
出典:JUIDA
JUIDA認定資格は年々操縦技能者の受講者・合格が共に増加しています。
受講の条件は、以下の通りです。
・16歳以上(未成年の場合は親権者の同意書が必要)
・JUIDA認定スクール修了者 (3ヶ月以内)
・JUIDAの個人会員であること (正会員・準会員)
2015年は合格者が1,000人未満なのに対し、2022年は20,000人を超えています。
資格を取得した際も運転免許のように更新があり、更新しないと失効になるので注意が必要です。
IAU認定資格
出典:IAU
一般社団法人 国際無人航空機協議会(IAU) が発行している資格です。
IAUは、最新の宇宙工学のノウハウを元に、国産AIドローンの利活用やIOT化に関するビジネスをサポートしている組織です。
IAU認定資格の概要は、以下の通りです。
資格名 | IAU無人航空機技能認証 |
公式ホームページ | https://www.iau-drone.org/ |
料金 | 受講費:無料~248,000円 |
受講形式 | 実技 |
対応エリア | ・北海道×0 ・東北×0 ・関東×1 ・中部×2 ・近畿×3 ・中国×0 ・四国×0 ・九州×0 ・沖縄県×1 |
受講期間 | eラーニング+2日 |
受講条件は、以下の通りです。
・IAU認定スクールを修了
・16歳以上(未成年の場合は親権者の同意書が必要)
IAU認定資格は2019年に活動が始まりましたが、国土交通省航空局HP掲載で管理団体の運営であることから、今後仕事に活かすことができる資格です。
受講資格は16歳以上であることが必要なので、ドローンを保有しなくても可能です。
他のドローンスクールと比較すると対応エリアが少ないので、住んでいる地域によっては受講が難しいというデメリットがあります。
ドローン検定協会認定資格
出典:ドローン検定協会
ドローン検定協会株式会社が発行している資格で、1級〜4級の筆記試験を実施しています。
ドローン検定協会認定資格の概要は、以下の通りです。
資格名 | ドローン検定○級 |
公式ホームページ | https://drone-kentei.com/ |
料金 | 受講費:3,200円〜18,800円 |
受講形式 | 座学 |
対応エリア | 試験ごとに、実施要項にて発表される。 |
受講期間 | 1日 |
出典:ドローン検定協会
ドローン検定協会認定資格は、座学で受講して資格を取得しますが、値段がとてもお手頃価格です。
また、ドローン飛行未経験でも受講できる為、知識さえあれば資格を取得できるというメリットがあります。
ドローン検定協会認定資格でも国土交通省への申請を送る際に、操縦の資格として証明ができます。
金銭的にも優しいので、他のドローンスクールに通うのが難しい方は、是非確認しましょう。
全資格の料金比較表
これまで紹介してきた資格の、料金を比較してみましょう。
資格 | 料金 |
DPA認定資格 | ・受講費:2000,000円 ・ライセンス認定料:25,000円 ・技能会員証発行:9,000円 ・追記、再発行:6,000円 |
DJI認定資格 | 受講費:110,000円 |
JUIDA認定資格 | ・受講費:50,000円 ・年会費:10,000円 |
IAU認定資格 | 無料~248,000円 |
ドローン検定協会認定資格 | 3,200円〜18,800円 |
ドローンスクールに通うとなると、最低でも10万円くらいは必要になってしまいます。
ドローン資格講習の流れ
操縦が難しいドローンですが、そもそも2日で講習が終了するので、不安に感じる方がいると思います。
そこでここからは、一般的なドローンスクールの流れを紹介していきます。
今回紹介する内容はDJIのDJI CAMP スペシャリストに沿って進めていきます。
1日目:基本的に座学
1日目は、基本的に座学の講義が行われます。
講義の内容は下記の通りです。
第1章 | 無人航空機操縦者(運用)の行動規範 |
第2章 | 安全 |
第3章 | 法規 |
第4章 | 無人航空機とは |
第5章 | 電波の知識 |
第6章 | カメラの知識 |
第7章 | 自然環境 |
第8章 | 安全飛行 |
第9章 | 飛行に向けた確認事項 |
第10章 | DJI製品について |
前半は、ドローンに関する基礎知識から安全に飛ばすための内容、そして後半ではDJIのドローンに関することも学びます。
座学は2日間あるので、1日で全ての内容を詰め込む必要はありませんが、次の日に試験があるので復習しておきましょう。
2日目:座学とテストが終了したら実技
2日目は座学と試験を行い、その後に技能試験を行います。
1日目の続きを学習し、座学が終了すると試験が開始します。
試験は座学で学んだ内容で、50点満点中40点以上で合格です。
座学を学んでからテストまでの期間がとても短いため、あらかじめ自分で勉強しておく必要があります。
座学では復習するために受講する気持ちで挑めば、合格率が格段に上がります。
テスト終了後は技能テストが実施されます。
テスト項目 | テスト内容 |
機体コンディションチェック | 各種機体状況確認をしているか |
離陸(P) | 周囲の安全を確保し、確認してから離陸している |
ホバリング(A)1分間 | 精度±50cm(優)、精度±1 m(良) |
右or左のホバリング(A) 1分間 | 精度±50cm(優)、 精度±1 m(良) |
対面ホバリング(A) 1分間 | 精度±50cm(優)、 精度±1 m(良) |
前進してポールまで飛ぶ(A) | 画面中心なら(優)、画面内にポールなら(良) |
対面で離陸地点に戻ってくる(A) | まっすぐ戻ってこられる(優)。逆舵切ったら(良) |
8の字旋回×2(A) | 正確に進行方向で8の字を描く(縦横不問) |
ノーズインサークル×2(A) | 正確に中心を向き円を描く(左右不問) |
着陸(A) | 周囲の安全を確保、確認してから着陸している |
飛行技能試験は2時間と短時間なので、前もって個人的に練習しておくことが必要不可欠です。
ドローンスクールは初心者でもドローンを安心して飛ばせる場所もあるので、初めての方はそのような場所で飛行練習を始めましょう。
受講するには指定された時間の飛行が必要なので、ぶっつけ本番でテストを行うことはありませんが、本番を意識した飛行練習を行いましょう。
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