ドローンを輸出する場合や輸入する場合、法律での規制が存在します。
輸入・輸出というと大袈裟ですが、海外サイトでドローンを購入する場合も個人輸入に当たるため注意が必要です。
本記事では、ドローンの輸出入の規制や規制に該当するドローン、規制を解除するための事前申請についての関連情報を解説します。
【この記事でわかること】
・ドローン輸出の規制
・ドローン輸入の注意点
この記事の監修者
バウンダリ行政書士法人 代表社員 特定行政書士 佐々木慎太郎
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人(東京・仙台)の代表。飛行許可申請をはじめ登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティングなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2022年度の年間ドローン許認可案件は5,300件以上、登録講習機関のサポート数は100社を突破。ドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
ドローンを輸出する際の規制とは
個人旅行などで空撮用ドローンを海外へ持ち出す場合は問題ありませんが、ドローンのみ海外へ送る場合は「外為法」という法規制があります。
外為法とは・・・「外国為替及び外国貿易法」は、資金や財(モノ)・サービス・技術(プログラム含む)の海外への移動などの際に適用される法律です。
また、ドローンを海外へ輸出できるか否かは、外為法で定められている「該否判定」を突破する必要があります。
該否判定とは・・・輸出する貨物や提供する技術が「リスト規制貨物等」に該当するか否かを判定することです。
この「リスト規制貨物」にドローンやラジコンヘリなどの無人航空機が当てはまるため、あらかじめ経済産業省に許可申請が必要な場合があります。
詳しくは、経済産業省の「安全保障貿易管理」をチェックしてください。
また「リスト規制貨物」ではないドローンは、模型航空機、いわゆる100g未満の重量のトイドローンやスポーツ用のドローンになります。
ペイロード(物を載せる力)があるドローンや、液体などを噴射できるドローン(農薬散布用の機体など)は「リスト規制貨物」では軍事転用の可能性があるため武器扱いとなってしまい、許可申請が必要です。
海外へドローンを輸出する場合、「リスト規制貨物」に当たるかあらかじめ経済産業省に問い合わせをすると良いでしょう。
ドローンを輸出する際の許可申請先と申請方法は
ドローンを海外へ輸出する際の許可申請先は、前述の外為法を管轄している経済産業省になります。
DJI製品などコンシューマー向けの一般的な空撮ドローンの場合、「非該当証明書」を取得することで輸出が可能です。
非該当証明書とは・・・該否判定でチェックするリスト規制貨物でないことを証明する書類です。
非該当証明書取得までの流れは、下記の通りです。
1.キャッチオール規制で懸念なしであることを確認
2.非該当証明書を作成
出典:経済産業省HP
まずキャッチオール規制に関して、輸出する予定のドローンが大量破壊兵器であるか否かを確認してください。
DJI製 Mavic Air2など空撮用ドローンを通常の方法で使用する場合、キャッチオール規制には該当しづらいですが、念のため経済産業省へ問い合わせをすると良いでしょう。
非該当証明書は、申請して取得する物ではなく、個人で作成が必要な書類で、税関で提出を求められる場合があります。
作成方法は経済産業省に問い合わせするか、経済産業省の安全保障貿易管理にある「非該当証明書について」を参考にしてください。
複雑な書類になるため、行政書士へ作成を依頼することも手段の一つです。
ドローンを輸入する際の規制は?
ドローンを輸入する際には、「電波法」に注意する必要があります。
原則として、他の無線通信に妨害を与えないように、周波数や一定の無線設備の技術基準に適合する小電力の無線局等を使用する場合を除き、電波を使用する際は業務用無線やアマチュア無線等の無線免許と無線局の開局が必要となります。
しかし、緩和措置として、発射する電波が極めて微弱な無線局や、一定の技術的条件に適合する無線設備を使用する小電力の無線局であり、かつ「技適マーク」が付いているものは免許や無線局の開局が不要となります。
携帯電話などを輸入する際にも注意すべきポイントがこの「技適マーク」ですが、ドローンも「技適マーク」が付いている機体を購入することをおすすめします。
もし、「技適マーク」が付いていない機体を飛行させた場合、電波法違反となり、一年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
また、重要無線通信妨害(警察や消防、気象や電気事業の通信妨害)とみなされると、五年以下の懲役又は250万円以下の罰金が科されます。
ちなみに、国土交通省の管轄である航空法とは異なり、電波法はドローンを屋内で使用する場合も適用されます。
屋内で技適マークなしのホビードローンを使うだけであっても、電波法に触れる可能性があるため、購入の際には注意しましょう。
海外のサイトでドローンを購入し、日本へ輸入(配送)する場合は、必ず技適マーク付きかどうか確認するようにしましょう。
ドローンを輸入する際の許可申請先と申請方法は
結論からお話しすると、個人での「技適マーク」の取得申請は現実的ではありません。
電波法をクリアするためには、「技術基準適合証明」と「工事設計認証」の2つが必要となります。
技術基準適合証明とは | 限定的な用途で使用する場合に取得するもの。試作品などで使用することが多い。 |
工事設計認証とは | 量産品に付与する認証のこと。実際に市場に流通させる場合に必要。 |
上記二つの取得には設計図などが必要となるため、製造元の技術協力が不可欠で、ドローンや携帯電話を製造していない一般個人が「技適」を取得することは不可能となります。
しかし、緩和措置として「技適マーク」付きの無線モジュールを搭載すれば、技適取得を省略できます。
またドローンの場合、機体内部をいじるため知識や技術がないと難しいですが、技適取得済みのVTXに載せ替えることがあります。
VTXとは・・・ドローンの映像を送信する機能のこと。受信側はFPVゴーグルやモニターとなる。
実際は、主にFPVドローンの業務目的の電波利用で使用するのがこのVTX載せ替えです。
趣味での利用の際はあまり関係がないので、海外サイトでのドローン購入の際は、必ず「技適マーク」付与済み機体の購入を強くおすすめします。
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