数年前からドローンというものが登場し、点検作業・物流など色々なシーンやビジネスで使われるようになりました。
その中でも「農業でドローンを使いたい」という方や「農業で今後ドローンを使用する」という方がいると思います。
そうしていざ農業で使おうと思い、ドローンについて調べていくうちに「ドローン免許」「ドローン資格」などの言葉を目にし、ドローンを飛ばすためには免許が必要だと思う方が少なくありません。
そこでこちらの記事では、『農業用ドローンを使用する場合、ドローン免許は必要なのか?』について徹底解説します。
これからドローンを使って農業を始めたい方は、是非最後まで読んでみてください。
この記事の監修者
バウンダリ行政書士法人 代表社員 特定行政書士 佐々木慎太郎
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人(東京・仙台)の代表。飛行許可申請をはじめ登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティングなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2022年度の年間ドローン許認可案件は5,300件以上、登録講習機関のサポート数は100社を突破。ドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
▼ドローン農薬散布の仕事について詳しく▼
クボタ農業用ドローンの操縦にはドローン免許が必要?
農業用ドローンに関心を持ち、調べていくうちに「ドローン免許」「ドローン免許必要?」という言葉を見かけると思います。
結論から申し上げますと、2022年4月現時点では、ドローンを飛行させるためのドローン免許はなく、航空法などのルールを守り、必要な申請を行えば誰でも飛行できます。
そこでここからは農業用ドローンを使用する際に免許は必要なのかについて詳しく紹介していきます。
安全で適切な飛行のためにドローン免許が必要
ドローンを飛行する場合、法的には免許を取得しなくても大丈夫です。
ですが、ドローンで撒く農薬は高濃度なので近隣の住民や作物などに影響が出る確率が極めて高く危険です。
また、農業でドローンを操作する際にある程度の知識や安全性を確保する必要があります。
ですので、農業用ドローンを飛行する場合、安全のためには免許を取得する必要があるでしょう。
農業用ドローンで必要な免許の種類・ルールとは?
農業用ドローンを使用する際に必要な免許の種類やルールはあるのでしょうか?
農林水産省は、「空中散布における無人航空機利用技術指導指針」を定めているので以下で詳しく解説します。
空中散布及び無人ヘリコプターの整備を目的とする飛行については、登録代行機関による技能認証を受けている者が無人ヘリコプターを飛行させていれば、審査要領に定める基準に適合していると判断して差し支えないものとする。
上記のことから、無条件で勝手に農業でドローンを使用できるわけではなく、指定された機関から技術や知識を学び、技能認定資格を取得する必要があります。
1.農林水産省による農薬等の空中散布に関する情報を熟知する
免許を取る前にまずは空中散布に関する情報を知り、理解する必要があります。
詳しい内容は農林水産省に書いてありますのでそちらをチェックしてみてください。
2.登録機関が認定する「認定オペレーター」が必要
ドローンを農業で使うためには「認定オペレーター」が必要です。
この認定オペレーターとはどんなものなのでしょうか。
これは、農林水産省局が認めた教習施設でドローンの知識、操縦技術や機体性能の確認などを行います。
また教習施設は、産業用マルチローター教習施設とも呼ばれています。
この教習施設は全国にあり、お近くの教室施設から受講が可能です。
認定オペレーターとして認められると農業用ドローンの操縦が可能になります。
3.農薬散布を行う際は「認定オペレーター+ナビゲーター1名以上」が必要
また実際にドローンを使用した農薬散布を実行する際には、認定オペーレーターとナビゲーター1名以上が必要となっています。
このナビゲーターは、周辺の安心安全を守るためにドローンの周辺地区や飛行状況を見張って、オペレーターを誘導する必要があります。
農業用ドローン免許を取得する方法
ここまで農業用ドローンを使うためには免許が必要なのかどうかについて解説していきました。
ここからは実際に農業用ドローンの免許を取得するためにはどうすればいいのかを順に紹介していきます。
1.農林水産航空協会が指定する教育施設を受講する
農業用ドローンを使用するためには、日本全国に存在する農林水産航空協会が指定する教習施設で免許を取得する必要があります。
認定オペレーターの受講資格は以下の4つです。
・満16歳以上であること
・視力・聴力が正常であること
・運転免許証などの身分証明書が提出できること
・心身ともにオペレーターとしての適性であること
基本的には満16歳以上の健康であれば誰でも受講できます。
また運転免許証を所持していない方でも、マイナンバーカードや健康保険証などがあれば大丈夫です。
次に免許取得のための教習内容は、「操作実技教習」「学科教習」という2つの教習を受ける必要があります。
ここで教習を受ける前にチェックしておかなければならないことが2つあります。
1つ目はドローンの機種ごとに操作方法が違うことです。そのため自分がどの機種の免許を取得したいのかをしっかりと確認する必要があります。
2つ目は農業用ドローンとして使用できる機体についても農林水産省によって定められていますので、もし異なる機体を導入したい場合は、機体ごとに免許を取得しましょう。
また、ドローンの基本操作以外にも、農薬散布の際に必要な散布装置の操作や取り扱いについても学習しなければなりません。
ここまで問題ない方はいよいよ受講になります。その際にかかる認定オペレーター教習の受講費用を解説していきます。
受講費用は大体15万円〜25万円です。
実際の受講費用は教習期間や受講するコース、教習施設によって変動します。
この際に気を付けなければならない点は、受講は機種ごとに実施されるため、教習施設が扱っている機種が本当に実施しているのかをチェックしておきましょう。
詳しくはこちらの産業用マルチローター教習施設からご覧ください。
2.産業用マルチローターオペレーター教習修了者認定推薦状が交付される
操作実技と学科教習の修了を認められると教習施設の責任者は「産業用マルチローターオペレーター教習修了者 認定推薦状」を協会長に提出します。
その後提出された認定推薦状に基づき、オペレーターとして認定された人には、「産業用マルチローターオペレーター技能認定証」が交付されます。
この認定証の有効期限は交付日から3年となっており、研修を受けることによって更新することができます。
3.交付された推薦状を農林水産航空協会に提出する
免許を取得した方は技能面では農業用ドローンを使用した農薬散布が実施可能です。ただ実際に農薬散布を実施するためには航空法に基づき国土交通大臣への許可・承認がまた必要になります。
それに合わせて、各都道府県協議会への事業計画書の提出も必要となります。
その際には航空法(第九章:無人航空機)の飛行禁止空域の確認が必須になりますのでチェックをしなければなりません。
4.農業用ドローン免許が取得できる
ここまでの手順を行っていくと農業用ドローンの免許を取得できます。
ただ注意したいのは先ほどもご紹介した通り、この免許の有効期限は交付日から3年となっておりますので、免許を更新したい場合は研修を受けて更新することを覚えておきましょう。
クボタ農業用ドローンの種類を紹介
出典:クボタ
ここからは、クボタが販売する農業向けドローンを紹介していきます。
比較的使い勝手のいいドローンを厳選しているので、農業用ドローンを導入するのを検討されている方は是非参考にしてください。
クボタ農業用ドローンT10K
出典:クボタ
クボタ農業用ドローンT10Kは、一人でも楽に持ち上げられる軽量かつコンパクトでありながら優れた散布性能を発揮する機体です。
機体にはセンサーが装備されていて、万が一機体のロックを忘れた場合、検知してお知らせしてくれるので初心者の方でも安心して使えます。
ここで、クボタ農業用ドローンT10Kの基本情報を表にまとめたので紹介します。
機体サイズ | 1958mm×1833mm×553mm(アームとプロペラ展開時) |
機体重量 | 13㎏(バッテリーを除く) |
フライト時間 | 9~19分 |
【液剤散布装置】タンク容量 | 8ℓ |
【液剤散布装置】ノズル容量 | 8ℓ |
【液剤散布装置】ノズル数量 | 4個 |
【液剤散布装置】最大積載量 | 8㎏ |
【液剤散布装置】散布幅 | 5m(作物の上空2m) |
【粒剤散布装置】最大積載量 | 10㎏ |
【粒剤散布装置】最大吐出量 | 約50㎏/分 |
【粒剤散布装置】散布幅 | 4~10m(作物の上空2m) |
クボタ農業用ドローンT10Kには、7つの機能が搭載されています。
1.高精度散歩
2.球面型全方位レーダー
3.FPVカメラ
4.アームロックレバー
5.トラスボディ設計
6.新型送信機
7.カセット式バッテリ
これだけ多くの機能と高画質カメラが内蔵されています。またこのクボタT10Kは2022年2月に発売された新作ですので、最新の技術が搭載されています。
クボタT10Kは、様々な機能で初心者でも安心・安全に農業でドローンを飛行させることができます。
クボタ農業用ドローンT30K
出典:クボタ
クボタ農業用ドローンT30Kは、先ほど紹介したドローンよりもパワーアップした、より農業の現場で活躍できる大型機体です。
この機体は容量が30ℓになっただけではなく、360°散布可能なので、より効率的に作業を進められます。
ここで、クボタ農業用ドローンT30Kの基本情報を表にまとめたので紹介します。
機体サイズ | 2858mm×2685mm×790mm(アームとプロペラ展開時) |
機体重量 | 26.3㎏(バッテリーを除く) |
フライト時間 | 7~20分 |
【液剤散布装置】タンク容量 | 30ℓ |
【液剤散布装置】ノズル容量 | 30ℓ |
【液剤散布装置】ノズル数量 | 16個 |
【液剤散布装置】最大積載量 | 30㎏ |
【液剤散布装置】散布幅 | 7.5m(作物の上空2m) |
【粒剤散布装置】最大積載量 | 40㎏ |
【粒剤散布装置】最大吐出量 | 約50㎏/分 |
【粒剤散布装置】散布幅 | 4~10m(作物の上空2m) |
クボタ農業用ドローンT30Kには、9つの機能が搭載されています。
・①プランジャーポンプ
・②粒剤散布装置
・③散布ノズル
・④球面型全方位レーダー
・⑤FPVカメラ
・⑥アームロックレバー
・⑦トラスボディ設計
・⑧新型送信機
・⑨カセット式バッテリ
これだけ多くの機能と高画質カメラが内蔵されています。またこのクボタT30Kは大きいだけではなく、T10Kでも紹介した機体のロックを忘れた際に検知してお知らせしてくれる機能も搭載されています。
クボタT30Kは、様々な機能で効率的に散布ができるので即戦力として使いたい方にはオススメです。
まとめ
当記事では「農業でドローンの免許はいるのか」や「免許を取るにはどうすればいいのか」などを紹介しました。
2022年4月時点では、ドローンを飛行させるための免許はなく、誰でもドローンを飛ばせるというのが現状です。
しかし農業用ドローンを飛ばすためには、農林水産省消費・安全局が認定した教習施設でドローンの知識、操縦技術や機体性能を確認し「認定オペレーター」の免許を取る必要があります。
また、実際に農業用ドローンを使用する際には周辺の安心安全を守るためにドローンの周辺地区や飛行状況を見張って、オペレーターを誘導するナビゲーターが必要です。
最後に、屋外で農薬散布を実際に行う場合は、航空法の飛行許可申請も必要となるので注意です。
農業用ドローンについて正しい知識と技術を習得して、安全にドローンを飛ばしましょう。
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