近年、ドローンは撮影や物流、点検・測量業務など様々な分野のビジネス利用が進んできました。
その中でも農業の効率化と持続可能性を追求する中で、ドローンを活用した農薬散布が注目を集めています。
人口の減少と高齢化が進む農業の分野で、広大な農地に対する従来の手作業や大型機械での農薬散布は、時間とコストの面で大きな負担となっています。
しかし、ドローンを使った農薬散布は、より正確かつ効率的に薬剤を散布でき、労力とコストの削減を実現します。
そこでこの記事では、ドローン農薬散布代行サービスや、そのメリット、実際に業者を選ぶ際のポイントなどを徹底解説します。
【本記事でわかること】
・ドローン農薬散布代行サービスの種類
・初めは農協にドローン農薬散布を頼むのがおすすめな理由
・ドローン農薬散布代行サービスを利用する流れ
・ドローン農薬散布代行サービスを活用するメリット
・農薬散布用ドローンを購入するか、業者を利用するかは圃場の面積で決まるについて
・農薬散布用ヘリよりもドローンが優れているポイント
・ドローン農薬散布代行業者の選び方
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ドローン農薬散布代行サービスの種類は?
ここでは、ドローン農薬散布代行サービスの種類を徹底解説します。
ドローンの農薬散布代行サービスを行っているのは『民間企業』と『農協』の2種類があります。
それではここから、ドローン農薬散布を行う民間企業と農協の概要を紹介します。
ドローン農薬散布代行サービスを行う『民間企業』
ドローンによる農薬散布の注目度が高まるにつれて、代行サービスを行う民間企業も増えてきました。
他社との差別化を図るために、農楽散布だけではなく、肥料散布代行や薬剤のプランニング、農地のデータ管理などのサービスを併せて行う企業もあります。
代行サービスを検討している方や、農薬散布用ドローンの購入を検討している方に向けて、ドローン体験会を実施する会社もあり、様々なサービス提供がされています。
ドローン農薬散布代行サービスを行う『農協』
民間企業だけではなく、ドローン農薬散布代行サービスを行う農業協同組合(農協)も存在します。
以前からヘリコプターを使用した農薬散布サービスは行われていましたが、費用が高い・狭い農地では使用できない・騒音問題があるなどの理由で、利用できない農家も多くいました。
これらの問題を解決するために、ドローンを使用した農薬散布を取り入れる流れが広まっています。
しかし、まだドローン農薬散布を行なっていない地域が多いのも現状です。
初めは農協にドローン農薬散布代行サービスを頼むのがおすすめ
ドローン農薬散布代行サービスを依頼するときは、まずは農協を利用するのがおすすめです。
管轄の農協は地域に詳しく、地元の作物や農地の環境についても把握しているため、伝達もスムーズであることから、安心して散布作業を任せられます。
また、民間企業に依頼するよりもコストが下がる可能があるのも大きなメリットです。
ドローン農薬散布を依頼する際は、最初に管轄の農協でドローン農薬散布の支援事業をしているか確認してみましょう。
ドローン農薬散布代行サービスを利用する流れ
ここでは、ドローン農薬散布代行サービスを利用する流れを1つずつ詳しく解説します。
【ドローン農薬散布代行サービスを利用する流れ】
1.オンラインで申し込みする
2.打ち合わせから契約まで実施
3.現地調査
4.ドローン農薬散布代行開始
5.散布完了報告
それではここから、詳しく紹介します。
1.オンラインで申し込みする
ドローン農薬散布代行サービスは、基本的にオンラインで申し込みします。
まずは、専用のウェブサイトや電話を通じて申し込みを行います。
希望する日時やエリア、作業内容などの基本情報を提供することで、手続きがスムーズに進みます。
2.打ち合わせから契約まで実施
次に、打ち合わせなどの事前相談を行い、その後に契約締結します。
手順としてはまず、担当者と直接打ち合わせを行い、作業範囲やスケジュール、費用について具体的な内容を確認します。
双方の合意のもとで正式な契約を結びます。
3.現地調査
次に、実際に作業を行うフィールドの調査を行います。
地形や環境、散布対象を確認し、安全にかつ効率的に作業ができるよう準備を整えます。
4.ドローン農薬散布代行開始
契約締結し、作業を行うフィールドを確認したらドローン農薬散布代行が開始されます。
ドローン農薬散布代行では、ドローンを活用して、事前に計画されたエリアに農薬を散布します。
高精度の技術により、ムラなく均一な散布が可能です。
5.散布完了報告
最後に、散布が完了すると、作業内容の報告書を提出します。
農薬使用量や作業時間、散布範囲の詳細が含まれ、今後の管理にも役立ちます。
これでドローン農薬散布代行サービスの利用の流れは以上になります。
ドローン農薬散布代行サービスを活用する3つのメリット
ドローン農薬散布代行サービスを活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、ドローン農薬散布代行サービスを利用するメリットを紹介します。
【ドローン農薬散布代行サービスを活用する3つのメリット】
1.ドローン飛行に関係するすべてのことを代行業者が行ってくれる
2.ドローン関連の知識や操縦技術を練習する必要がない
3.ドローンのメンテナンスに時間を取られない
それではこれから、ドローン農薬散布代行サービスを活用する3つのメリットについて詳しく解説していきます。
1.ドローン飛行に関係するすべてのことを代行業者が行ってくれる
ドローン農薬散布代行サービスを活用するメリットとして、「ドローン飛行に関する申請手続きを代行してくれる」ことがあげられます。
ドローンで農薬散布を行う際には「航空法」に基づいて飛行許可申請書を提出する必要があります。
飛行開始予定日から少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)には申請書類を提出(※国土交通省HPより)する必要がありますが、申請手続きは慣れていないと手間取ってしまう可能性があるので、代行サービスに一任できるのは大きなメリットになります。
2.ドローン関連の知識や操縦技術を練習する必要がない
ドローンを飛行させるには、ドローンについての知識と操縦技術が必要です。
さらに、農薬散布用のドローンは、ホビー用のものより機体が大きく操作難易度も上がります。
操縦にはある程度練習が必要で、人によっては慣れるまで時間がかかることがあります。
慣れていないと操作を誤って物や人にぶつけてしまったり、墜落させてしまったりというリスクも考えられるため、代行サービスに依頼することでこのような心配からも解放されます。
また、ドローンの知識や技術を習得するために時間をかける必要もないため、その時間を別のことに充てるなど有効活用できます。
3.ドローンのメンテナンスに時間を取られない
ドローンは精密機械なので、定期的なメンテナンスが必要です。
特に農薬散布用のドローンは、農薬を入れたタンクやチューブの洗浄を怠るとカビが繁殖し、散布できなくなる可能性があります。
さらに、機体に付着した農薬を小まめに拭き取らないと、破損や墜落のリスクが高まります。
しかし、代行サービスを利用すれば、メンテナンス作業をする必要もなくなるので、結果として農薬散布の労力も削減できます。
農薬散布用ドローンを購入するか代行業者を利用するかは圃場の面積で決まる
コストを重視する場合、保有している農地の面積が5ha以下であれば、代行サービスの利用が適していると考えられます。
作地面積 | 1年間の散布コスト | ドローン購入時のコスト回収目安 |
2ha | 1回の散布につき 40,000円×3回=年間120,000円 | 購入額100万円の場合、コスト回収には約8年以上が必要 |
5ha | 1回の散布につき 100,000円×3回=年間300,000円 | 購入額100万円の場合、約3年で回収可能 |
20ha | 1回の散布につき 400,000円×3回=年間1,200,000円 | 購入額100万円の場合、1年未満で費用回収が可能 |
一方、5haを超える農地を持っている場合、自身でドローンを購入する方が長期的にコストを抑えられます。
ドローンを使った農薬散布の代行サービスの料金相場は、『10アール(1反)あたりおおよそ2,000~3,000円』とされています。
例えば、1反あたり2,000円で、1年に3回農薬散布を行うケースを想定して試算すると以下のような結果になります。
もし、作地面積が5haの場合、100万円程度のドローンを購入すれば、おおよそ3年で初期費用を回収できる計算になります。
このため、3年が費用回収の目安として考えられます。
なお、代行サービスの料金は民間業者の相場を基準としていますが、農協を利用する場合はこれよりも低価格となるケースもあります。
農薬散布用ヘリよりもドローンが優れている3つのポイント
無人航空機で農薬散布を行うには、従来のヘリコプターで行う方法と、ドローンで行う方法があります。
ここでは、農薬散布用ヘリよりもドローンが優れているポイントを紹介します。
【農薬散布用ヘリよりもドローンが優れている3つのポイント】
1.狭い農地や入り組んだ地形でも適応が可能
2.飛行時の騒音が小さい
3.好きなタイミングで農薬散布できる
それではここから、農薬散布用ヘリよりもドローンが優れているポイントを3つ詳しく解説します。
1.狭い農地や入り組んだ地形でも適応が可能
農薬散布用ヘリは機体が大きく、狭い農地や複雑な地形での農薬散布は難しいことがあります。
しかし、ドローンの場合は比較的機体が小さく機動性が高いため、農地の形にとらわれず農薬散布できる特徴があります。
周囲に民家があったり他の農地がある場合、広範囲に農薬散布するヘリは周りへの配慮が必要ですが、ドローンの場合は細かい範囲で散布できるので、周囲に飛散してしまうリスクを軽減できます。
2.飛行時の騒音が小さい
農薬散布用ヘリは飛行時の音が大きいというデメリットがありますが、ドローンによる農薬散布は騒音が小さいメリットがあります。
農地でヘリコプターが飛んでいるのを見たことがある方は想像しやすいかと思いますが、ヘリコプターが飛行するときにはかなり大きな音が発生します。
農薬散布用の無人ヘリはそれより小型とはいえ、騒音が出てしまいます。
それに比べると、ドローンは飛行音が静かに設計されているため、周囲への騒音被害のリスクを抑えられます。
農薬散布用ヘリの飛行騒音で周辺住民の方からクレームが来たが、ドローンでの散布に切り替えたらクレームがなくなったという実例もあります。
3.好きなタイミングで農薬散布できる
農薬散布用ヘリは代行サービスに依頼する場合、他の農家とのスケジュールを調整する必要があるため、日にち指定がしづらいことがあります。
しかし、ドローンを使った農薬散布は、比較的好きなタイミングで実施できます。
代行サービスに依頼する場合、雨天時や強風で農薬散布が難しいときは日程変更に応じてくれる業者がほとんどなので、安心して依頼できるのもメリットとして挙げられます。
ドローン農薬散布代行業者4つの選び方
ここでは、ドローン農薬散布代行業者の選び方を徹底解説します。
【ドローン農薬散布代行業者4つの選び方】
1.ドローン農薬散布の実績があるかで選ぶ
2.散布する圃場や作物の成長状況を事前にチェックしてくれるかで選ぶ
3.急な依頼でも対応できるかで選ぶ
4.圃場モニタリングなどのオプションサービスの有無で選ぶ
それではここから、ドローン農薬散布代行業者の選び方を1つずつ紹介します。
1.ドローン農薬散布の実績があるかで選ぶ
ドローン農薬散布の代行サービス業者を選ぶ際に重要なのは、実績があるかどうかです。
多くの実績がある会社は、農薬散布に関する知識が豊富で、信頼されている企業と言えます。
また、ドローンの農薬散布を依頼する場合は、ドローン操縦についての経験もチェックする必要があります。
会社によっては、ドローンによる農薬散布の実績をホームページに掲載している場合があるので、過去実績も重視しましょう。
2.散布する圃場や作物の成長状況を事前にチェックしてくれるかで選ぶ
初めてドローン農薬散布を依頼する際は、費用対効果はあるのか、作物は悪くならないかなど心配すると思います。
そこで、ドローン農薬散布代行業者を選ぶ際は、最初は現地まで足を運び、農場の環境・作物の状況をしっかりと確認してくれる業者を選びましょう。
散布日時や使用薬剤の確認など、細かく事前ヒアリングしてくれる会社は安心感があるおすすめの会社と言えます。
また散布後のデータ報告や、不安なことは相談に乗ってくれたりと、アフターフォローのサービスが手厚い会社もあります。
各会社がホームページ等で掲載している特徴や、口コミなどを参考にして目的に合ったドローン農薬散布代行業者を選びましょう。
3.急な依頼でも対応できるかで選ぶ
農業では急に害虫が発生するなどの突発的な被害が起こることもあります。
そのような場合でも、すぐに対応してくれる業者かどうかをチェックしましょう。
農作業に遅れが出たり、スケジュール通りにならなかった場合など、急遽農薬散布依頼する必要が出たときに、すぐに対応してもらえれば計画通りに作物を育成できます。
業者によって依頼から実施までどのくらいの期間が必要か変わってくるので、問い合わせ時に確認することが重要です。
4.圃場モニタリングなどのオプションサービスの有無で選ぶ
ドローンによる農薬散布だけではく、圃場モニタリングサービスを行っている会社もあります。
特殊なカメラが装備されたドローンで農地を空撮することで、作物や土壌の健康状態を正確に把握できます。
今まで熟練の生産者による経験や勘に頼っていた部分を、データによって見える化することが可能です。
このように、オプションサービスが充実している業者を選ぶことで、より効率化が図れます。
まとめ
この記事では、ドローン農薬散布代行業者の種類やメリット、選び方を紹介しました。
ドローン農薬散布代行業者を選ぶ際は、まずは管轄の農協に農薬散布支援事業を行っているか問い合わせてみましょう。
農協で対応していなかった場合は、民間企業のドローン農薬散布代行サービスを検討しましょう。