自衛隊ドローン部隊の保有する無人航空機一覧

自衛隊無人機のアイキャッチ画像

ドローン技術は近年急速に進化し、軍事や民間を問わず、私たちの生活に欠かせない存在になりつつあります。

映画やドラマ、競技の撮影にも使用されているドローンですが、自衛隊でもドローンを保有し、幅広く運用しています。

特に自衛隊が運用する無人航空機は、最新の技術と高い実用性を兼ね備えた装備が搭載されていることから注目を集めています。

そこでこの記事では、自衛隊が保有するさまざまな無人航空機を詳しく紹介します。

無人航空機の特徴や用途、技術的な優位性を詳しく解説し、最新の軍事ドローンがどのように社会に貢献しているかを確認しましょう。

この記事でわかること
・自衛隊のドローン部隊が持つ無人航空機について

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富士 遠隔操縦観測システム FFOS(204)|陸上自衛隊

富士 遠隔操縦観測システム FFOS(204)の画像

出典:Fly Team

FFOSは、SUBARU(旧富士重工業)が開発したラジコン式の無人ヘリの観測型無人機です。

略称のFFOSは、開発時の仮称の頭文字Flying Forward Observation System(飛行式前線観測装置)に由来しています。

映像伝送
防水性能
耐風性能 20m/s以下
全長 530cm
重量 約213kg
GPS機能 ×
自律飛行 ×
カメラ 光学・赤外線
価格 約45億円

本機体は、広範囲のデータや情報を送受信・処理が可能で、遠距離観測の任務遂行が可能なシステムとなっています。

もともとは、偵察や火砲の弾着観測用に作られました。

このシステムにより、誤射を受ける可能性があるような危険な着弾観測を上空から広範囲で見渡せるのです。

また、地震や洪水などの災害現場の被害状況を迅速に把握するためにも利用され、救援活動の優先順位を効率的に決定するのにも役に立っています。

このシステムの最大の特徴は、夜間や悪天候でも使用できることです。

さらに50km以上離れた距離を観測できる能力を持ち、航続時間は3時間以上といわれています。

一方でこのシステムには、飛行管制や情報処理のための支援車両が数台必要という欠点があります。

UAV(近距離用)JUXS-S1|陸上自衛隊

UAV(近距離用)JUXS-S1は、日立製作所と川田工業が共同開発した無人航空機(UAV)で、近距離での偵察や情報収集に特化したモデルです。

その最大の特徴は、小型軽量な設計による高い運用性です。

機体は強化発泡スチロールで製造されており、軽量でありながら頑丈な構造を備えています。

この構造により、運搬や展開が非常に簡単で、迅速な対応が求められる状況でも効果を発揮します。

映像伝送 640×480
防水性能 ×
耐風性能 6m/s以下
全長 15.5×9.5cm
重量 4,000g
GPS機能
自律飛行
カメラ 光学・赤外線
価格

また、運用には2名の人員で十分であり、手投げでの離陸が可能なため、滑走路や特殊な離着陸装置を必要としません。

この設計は狭いスペースや荒れた地形でも展開が容易であり、即応性の高さが特徴です。

機体回収時には、損傷しにくい材質と構造になっているため、運用コストの低減にも貢献しています。

さらにJUXS-S1には、可視光カメラや赤外線カメラなどの高機能なカメラを搭載可能です。

そのため昼夜を問わず精密な観測が可能となり、リアルタイムでの映像伝送が地上の指揮所やオペレーターに情報を提供可能です。

この機能は、作戦行動における指揮決定を支援し、より効果的な行動を可能にします。

また、人が危険な区域に入らずに情報収集が行えるため、軍事用途のみならず災害対応でも活躍しています。

地震や洪水などの自然災害時には、被害状況の把握や救助活動の優先順位を決定するための重要なデータを得ることが可能です。

JUXS-S1は、軽量性、堅牢性、操作性を兼ね備えた近距離用UAVの代表的なモデルであり、軍事と民間の両面で高い評価を受けています。

無人偵察機システム(FFRS)|陸上自衛隊

無人偵察機システム(FFRS)は、SUBARUが開発した陸上自衛隊の無人ヘリコプターで、FFOS(遠隔操縦観測システム)を改良したモデルです。

もともとは着弾観測を目的に作られましたが、現在では偵察や情報収集、災害対応など幅広い任務を担っています。

映像伝送 リアルタイム映像伝送可能
防水性能
耐風性能 20m/s以下
全長 530cm
重量 275kg
GPS機能 ×
自律飛行
カメラ 光学・赤外線
価格

FFRSはGPS機能を搭載しており、離着陸を含む完全自律飛行が可能です。

これにより、オペレーターの負担が軽減され、効率的な運用が実現しました。

通信・航続距離も100km以上に拡大され、広域監視や遠隔地での情報収集に対応します。

また、夜間や悪天候でも運用可能な設計となっており、昼夜を問わず安定した飛行を可能としています。

さらに、高性能なカメラやセンサーを搭載し、リアルタイムで精密な情報を地上に送信できるため、指揮官が迅速に状況を把握し、適切な指示を出す支援をします。

FFRSは、陸上自衛隊の作戦遂行や安全保障において不可欠な装備として位置づけられており、軍事用途に加え、災害対応でも大きな役割を果たしています。

スキャンイーグル(ScanEagle)|陸上自衛隊

ScanEagleの画像

出典:Insitu

スキャンイーグルは、アメリカの企業が開発した偵察用のドローンです。

映像伝送 リアルタイム映像伝送可能
防水性能
耐風性能
全長 1.7m
重量 13.1kg
GPS機能
自律飛行
カメラ 光学・赤外線センサー搭載
価格 1機あたり約2.5億円

もともと魚群探査を目的に作られた民間用の機体を、軍事用に改良しました。

最大の特徴は、小型軽量でコンパクトな設計でありながら長時間飛行と高精度な情報収集を実現できることです。

また、赤外線センサーも搭載しており、リアルタイムで映像を地上に伝送できるので現場状況を即座に把握するのに役立ちます。

滑走路も必要とせず、圧縮空気を用いたカタパルト発射システムを使用して打ち上げ、回収時には特殊なワイヤーを用いるスカイフックという独自のシステムを採用しているため効率的な運用が可能です。

改良型として各センサーや搭載機能の強化されたスカイイーグル2の運用もされており、偵察や災害時の被害状況把握など幅広い任務に運用されています。

優れた持続性と運用効率により、スキャンイーグルは陸上自衛隊の偵察能力を強化する重要な装備として位置付けられています。

Parrot ANAFI(アナフィ)|日・米自衛隊

ANAFI(アナフィ)は、フランスのParrot社が製造する高性能な小型ドローンで、その信頼性から米軍にも正式採用されています。

映像伝送 Wi-Fi 802.11a/b/g/n (2.4GHz)
防水性能
耐風性能
全長 格納時:244×67×65mm / 展開時:175×240×65mm
重量 320g
GPS機能
自律飛行
カメラ 1/2.4型 2100万画素、2.8倍ロスレスズーム
価格

本機体は主に、近距離での監視や情報収集を目的に運用され、軽量性と高性能を兼ね備えているのが特徴です。

重量は約320gと軽量ですが、飛行の安定性に優れています。

また、折りたたみ可能な設計により、持ち運びやすく、迅速な展開が可能です。

さらに、搭載された高性能カメラは、4K HDR映像の撮影が可能で、光学ズーム機能も備えています。

カメラは180度の上下撮影にも対応し、通常のドローンでは難しいアングルからの撮影も実現します。

加えて、GPS機能を搭載しており、自律飛行が可能です。

そのため、事前に設定したルートを正確に飛行でき、オペレーターの負担を軽減しつつ、効率的な情報収集をサポートします。

このように、ANAFIはその軽量性、操作性、携帯性に優れる点から、監視任務や災害時の状況把握、小規模な偵察活動において、日米自衛隊にとって重要な装備です。

その多用途性と信頼性により、今後もさまざまな場面での活躍が期待されています。

Parrot BEBOP 2

Parrot BEBOP 2は、フランスのParrot社が開発した、軽量かつ高性能なドローンとして設計されたモデルです。

映像伝送 HD映像伝送、最大2000m
防水性能
耐風性能
全長 382×382×89mm
重量 525g
GPS機能
自律飛行
カメラ 1400万画素、1/2.3型センサー、JPEG/Adobe DNG/RAW対応、フルHD録画
価格

本機体は、高性能なカメラを搭載しており、360度のパノラマ撮影が可能となっています。

また、操縦の持続時間も30分と飛行性能も優れているのも特徴です。

最高飛行速度は時速約65kmに達し、効率的な移動と広範囲の監視が可能です。

素材にも特徴があり、カーボンファイバーとグリラミドの混合素材を使うことで耐久性に優れています。

さらに、自律飛行機能とGPS機能を搭載しており、事前設定したルートに沿った正確な飛行が可能です。

万が一送信機との接続が切れてしまっても、自動的に離陸地点に戻る『リターンホーム機能』が搭載されているため、安心して操縦できます。

Parrot BEBOP 2は、このように高品質な撮影能力と優れた携帯性、さらに操作性を兼ね備えており、軽量ドローンとして自衛隊の多様な任務に対応できる一台となっています。

エアロボ(AS-MC03)

エアロボ(AS-MC03)は、上空からの撮影画像による精密な情報収集や監視を目的としたドローンです。

映像伝送 HD映像伝送、最大2000m
防水性能
耐風性能 10m/s
全長 プロペラなし:433×433×310mm
ガード装着時:800×800×310mm
重量 2.33kg
GPS機能
自律飛行
カメラ ソニー製UMC-R10C(2000万画素、レンズ交換式、自動シャッター制御)
価格

本機体は、高速シャッターでも高画質で撮影ができ、さらに画像のゆがみを抑える機能が内蔵されています。

また、軽量ながら、高性能なソニー製UMC-R10Cカメラを搭載しており、2000万画素の高解像度撮影が可能です。

さらに、レンズ交換や自動シャッター制御にも対応しており、幅広いシチュエーションでの柔軟な撮影を実現します。

エアロボ(AS-MC03)は、GPS機能と自律飛行機能を備えており、事前設定したルートに従った正確な飛行が可能です。

バッテリー残量基準値以下による自動帰還・接続が切れた際の自動帰還・暴走飛行防止などの安全機能も兼ね備えています。

防水防塵性能や耐風性能も優れているので、厳しい環境下でも安定して運用でき、災害対応にも活用されています。

このようにエアロボ(AS-MC03)は、その高い性能と多用途で活用できることから、情報取集や監視だけでなく災害現場での状況把握などでも幅広い分野で活躍しています。

まとめ

本記事では、自衛隊のドローン部隊が保有する無人航空機(ドローン)の特徴や用途・目的を紹介しました。

自衛隊で運用されているドローンは、高機能な技術と性能を備えた重要な装備を搭載していることが基本となります。

例えば、無人偵察機システム(FFRS)やスキャンイーグル(ScanEagle)は、広域監視と長時間の飛行能力を兼ね備え、災害時や偵察任務で活躍しています。

また、Parrot ANAFI(アナフィ)やParrot BEBOP 2といった軽量で操作性に優れたモデルは、都市部や近距離での観測に最適です。

これらのドローンは、光学・赤外線カメラやリアルタイム映像伝送など、精密で迅速な情報収集を可能にする機能も搭載しています。

各ドローンの特徴を活かして、任務目的に応じて柔軟に活用しています。

自衛隊で運用しているドローンの特徴や高度な活用例を知ることで、ドローンの最先端技術と運用方法を学べます。

さらに、より詳しいドローンの機能や性能、運用方法を知るには、ドローンスクールでの学びも有効です。

ドローンの未来に触れ、社会に貢献するための第一歩として、ドローンスクールでの学んでみてはいかがでしょうか。

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