街中や家電量販店でも当たり前のようにドローン販売コーナーが設置されるようになり、ドローンの一般認知も高まってきました。
「一度はドローンを購入して飛ばしてみたい」「ドローンでカッコいい動画を撮りたい」「インスタ映えする動画撮影がしたい」そう思う方も多くいるのではないでしょうか。
いざドローンを飛ばしたい!となっても、好きな時に好きな場所で飛ばせるわけではありません。ドローンを飛ばすには国や地方自治体が定めたルールを守らなくてはいけません。
しかし、ドローンの法律やルールはすぐに覚えられるほど簡単なものではありませんので、しっかりと勉強して覚えましょう。
この記事では、ドローンを飛ばすにあたって覚えるべき法律やルールに関して詳しく解説します。
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ドローンを利用するにあたって知っておくべき法律とは?
【ドローンを飛ばす際に守るべき法律】
・航空法
・小型無人機等飛行禁止法
・道路交通法
・民法
・電波法
・都道府県、市町村条例
※”ドローンだけ”に関する明確な法律というものはまだ存在せず、上記の法律以外にも「自然公園法」「河川法」「港則法」「港湾法」などが関わってくる場合があります。ドローンを飛ばす前には管理者へ確認と相談を都度行うようにしましょう。
現在ドローンに関して定められている法律だけでも、これだけの数の法律が存在します。一気に覚えるのは大変ですが、ドローンを飛ばす前には必ず一度は目を通しましょう。
ここからは一つ一つドローンに関する法律の解説をしていきます。
航空法
航空法に関しては国土交通省が定めた「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」にて確認することができます。
また、ドローンは発展途上の技術であるため頻繁にガイドラインや法律が改正、追加されますので定期的に国土交通省の公式HPを確認しましょう。
航空法の規制対象となる機体
構造上、人が乗ることが出来ない機体であって100g以上のドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなど
飛行禁止空域
ドローンを飛ばしてはいけない場所として覚えておかなくてはいけないのは、以下の3つのポイントです。
- 空港周辺
- 150m以上の上空
- 家などの密集地域
- 緊急用務空域
飛行の方法
ドローンは飛行させる場所だけでなく、飛行させる際の方法に関しても厳格なルールが存在します。
- [1] アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- [2] 飛行前確認を行うこと
- [3] 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- [4] 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- [5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- [6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- [7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- [8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- [9] 爆発物など危険物を輸送しないこと
- [10] 無人航空機から物を投下しないこと
承認が必要となる飛行方法
ドローンは基本は飛行禁止空域以外であれば、飛行させて問題はありません。しかし、場合によっては地方航空局長へとドローンを飛ばすための許可申請を行わなくてはなりません。
以下の画像が承認が必要となる場合の飛行方法です。
こういった場合の手続きの詳細に関しては、国土交通省HPの「許可・承認手続きについて」をご覧ください。
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法とは、簡単にいうと「重要とされる施設の周り300mやその上空ではドローンを飛ばしてはいけませんよ」という法律です。
詳細は警察庁が作成した資料(小型無人機等飛行禁止法の概要)がありますので、そちらをご覧ください。
ここでは要約した情報を記載していきます。
対象となる機体
①小型無人機を飛行させること
・無人飛行機(ラジコン飛行機等)
・無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローン等)
・無人飛行船 等
②特定航空用機器を用いて人が飛行すること
・気球
・ハンググライダー
・パラグライダー 等
飛行禁止場所・対象施設
・対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)
・周囲おおむね300mの上空(イエロー・ゾーン)
※東京都に関しては、ほとんどの場所が飛行禁止となります。
【小型無人機等禁止法に基づき指定する施設】
- 国の重要な施設等
- 対象危機管理行政機関及びその庁舎
- 対象政党事務所
- 対象原子力事業所
- 対象外国公館等
- 対象防衛関係施設
【特措法に基づき指定する施設】
- 大会会場等
- 空港
罰則
小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して
・対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者
・小型無人機等飛行禁止法第10条第1項に基づく警察官の命令に違反した者
は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
道路交通法
ドローンを使って道路の上からの撮影を行うだけであれば、基本的には道路交通法違反とはなりません。しかし、場合によっては「道路使用許可」を管轄する警察署へと届け出なければいけません。
道路使用許可が必要になるケース
- ドローンを飛ばすことで、交通の円滑を阻害する恐れがある場合や、人が集まることで他の人の交通の妨げとなる場合
- 道路交通法には「歩道」も含まれるため、歩道でドローンを使用する場合も許可が必要
- ドローンと自動車の距離が30m未満となる場合は国土交通大臣の承認が必要
道路使用許可申請方法
- 申請窓口・・・使用する道路を管轄する警察署
- 必要書類・・・道路使用許可等申請書、添付資料(道路使用の場所・方法等を明らかにした図面等)※詳細は管轄警察署へお問い合わせいただき、書類は控えと合わせて2通ご用意ください。
- 手数料・・・ 1,000~3,000円程度。※申請内容および申請先の警察署により異なります。
- 道路使用許可申請書・・・道路使用許可申請書(警察庁HP)、道路使用許可申請書 記載例(千葉県警HP)
民法
ドローンに関する民法は、他人の私有地上空にてドローンを飛行させた場合、民法第709条の『空間の無断利用』により被害者には損害賠償請求権が発生します。
しかし、厳密にはどの程度の高さまで所有権が及ぶのかなどは民法には明記されていませんので、ドローンオペレーターのマナーを順守する姿勢やモラルに依存するところが大きくなります。基本的に他の人の土地でドローンを飛ばす場合は、周辺含めた権利者へと許可をもらうのが無難と言えるでしょう。
※この場合の私有地は駅、線路、神社仏閣、観光地、山林なども含まれます。
電波法
ドローンを飛ばすには電波を使用して、機体のコントロールを行っています。大手メーカーのDJIやParrotなどの正規代理店が販売士ているドローンは、「特定無線設備の技術基準適合証明(通称:技適)」を取得済みであるため問題はありませんが、海外や通販
で購入したドローンは技適を取得出来ていない場合が多いため国内では飛行させないほうがいいでしょう。
【関連リンク】総務省 電波利用ホームページ | 技適マーク、無線機の購入・使用に関すること
都道府県、市町村条例
ここまでは、国が定めた日本全国どこで適用される法律を解説しました。
お住まいの地域によっては、ドローンに関する条例(ルール)が違い、制限や規制がかかっている場合があります。
規制内容は自治体によって違いますので、お住まいの地域でドローンを飛ばす前にはきちんと確認をするようお願いします。
この記事の監修者
バウンダリ行政書士法人 代表社員 特定行政書士 佐々木慎太郎
ドローンに関する許認可申請、許認可管理、法務顧問を専門とするバウンダリ行政書士法人(東京・仙台)の代表。飛行許可申請をはじめ登録講習機関の開設やスクール運営、事業コンサルティングなど支援の幅を広げ日本屈指のサポート実績を誇る。2022年度の年間ドローン許認可案件は5,300件以上、登録講習機関のサポート数は100社を突破。ドローン安全飛行の啓蒙活動として、YouTube「ドローン教育チャンネル」を開設するなどSNSで最新の法律ルールを積極的に発信している。著書に『ドローン飛行許可の取得・維持管理の基礎がよくわかる本』(セルバ出版)がある。
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